2023.08.21
エンゲージメントカスタマージャーニー顧客体験
顧客体験(CX)での成功事例5社と、失敗するケースについて
目次
CX(顧客体験)とは何か
顧客体験(CX)とは、企業と顧客が接触するすべてのポイントでの顧客の感じる体験のことを指します。それは製品を見つける段階から、購入、使用、サポート、そしてそれ以降の関係に至るまで、全体の旅(カスタマージャージー)をカバーしています。
なぜ顧客体験が重要なのか
顧客体験はビジネスの成功にとって重要です。調査によれば、顧客の86%が素晴らしい顧客体験を得るためにはより高い価格を支払うことを考えています。さらに、消費者の73%は、優れた顧客体験を提供する企業に対して、長期的なロイヤリティを感じると答えています。
国内・国外での成功事例
ここからはCXをどう有効活用しているのか、具体的な事例を企業ごとに紹介していきます。
成功事例1:Apple,inc
米国最大企業Appleは、単に製品を販売するだけではなく、全体的な体験を提供しています。Apple Storeでは、製品だけでなく教育的なワークショップやテクニカルサポートを提供する「ジーニアスバー」など、顧客にとっての価値を最大化する様々な要素が揃っています。2018年の統計では、これらの取り組みにより、Apple Storeは訪問者1人あたりの売上が平均57.60ドルと、他の小売業者と比較して圧倒的に高い数値を記録しました。
成功事例2:Amazon
次にAmazonについてご紹介します。顧客体験の改善を絶えず追求しています。オンラインショッピングでは、レビューや評価システムを用いて商品選びをサポートし、購入後も迅速な配送や顧客サービスを通じて顧客満足度を高めています。その結果、アマゾンは2020年のアメリカン・カスタマー・サティスファクション・インデックス(ACSI)で、小売業界全体で最も高い顧客満足度スコアを獲得しました。
成功事例3:UNIQLO
日本からは、ユニクロは高品質かつリーズナブルな価格の衣服を提供するだけでなく、店舗での買い物体験にも注力しています。明るく広々とした店内、整理整頓された商品陳列、親切なスタッフの対応などが顧客にとっての価値を創出しています。また、ユニクロは顧客の意見を大切にし、そのフィードバックを新商品開発に活かすなど、顧客とのコミュニケーションを重視しています。これらの取り組みにより、ユニクロは2019年度の日本の顧客満足度調査で、アパレル業界で最も高いスコアを獲得しました。
成功事例4:SnowPeak
スノーピークは、アウトドア用品の製造販売を手掛ける企業です。しかし、彼らが提供しているのは単なる製品だけではありません。スノーピークはアウトドア体験そのものを商品として提供することで、顧客体験の向上に努めています。例えば、スノーピークランドというアウトドア施設を運営しており、顧客が製品を直接体験できる場を提供しています。また、1998年からキャンプイベント「スノーピークウェイ」を開催し、顧客との絆を強めている。部長以上の会社幹部全員が参加するイベントで、顧客からのクレーム・提案を直接聞く場としても役立てている。ブランドにとって、商品を長く愛してくれる顧客を作り続けることは永遠のテーマ。〝スノーピーカー〟と呼ばれる熱狂的なファンを持つ同社から、顧客との向き合い方を学ぶ。また、製品の品質にも徹底的にこだわり、顧客が長く使い続けられるような耐久性と機能性を追求しています。さらに、製品に対するアフターサービスも充実しており、修理サービスを通じて製品の長期使用をサポートしています。毎年、購入ユーザーとのこれらの取り組みにより、スノーピークは顧客からの高い信頼とロイヤルティを獲得しています。
これらのことにより、スノーピークは単なる製品の提供者から、顧客のライフスタイルを豊かにするパートナーへとポジションをシフトさせています。
SnowPeakのCX:顧客体験を重視した商品開発とサービス
スノーピークは常に顧客体験を重視しています。例えば、商品はすべて長期間使用することを前提として設計されており、顧客からのフィードバックに基づいた改良が随時行われています。また、商品の一部が壊れた場合でも修理サービスを提供し、その品質と長寿命をサポートしています。これらの取り組みにより、スノーピークの顧客は安心して製品を長期間使用でき、その結果として深いロイヤルティを形成しています。
成功事例5:ヤッホーブルーイング
ヤッホーブルーイングは、クラフトビールの製造販売を行う企業であり、その製品は「よなよなエール」などで広く知られています。彼らの強みは、ただ美味しいビールを提供するだけではなく、ビールにまつわる体験やストーリーを提供することです。
例えば、ヤッホーブリューイングでも全国各地でビールのフェスティバルを開催しており、顧客が直接製品を試飲できる場を提供しています。さらに、社員によるツアーやワークショップを開催することで、顧客が製品に対する深い理解を得る機会を作っています。こちらのイベントなどは、顧客の代表が企画運営にも積極的に関与しているとのことで、ブランドとの絆の深さを物語っています。
また、ヤッホーブリューイングは地元産の原材料を活用した地ビールの開発を行い、地域の魅力を伝える役割も果たしています。これらの取り組みにより、ヤッホーブリューイングはただビールを提供するだけでなく、顧客体験の一部としてビールを位置づけています。
ヤッホーブルーイングのCX:地元愛と顧客体験の結合
ヤッホーブリューイングは地元産の原材料を活用した地ビールの開発を行うなど、地元愛を大切にしています。彼らは顧客がビールを飲むだけでなく、その製造過程や地元の風土についても知ることで、より深い満足感を得ることができると考えています。ビールのフェスティバルや工場ツアー、ワークショップなどを通じて、顧客にビールにまつわる体験と知識を提供し、その結果として強いブランドロイヤルティを獲得しています。
これらの企業は、製品やサービスの提供だけでなく、それを通じた体験の提供によって顧客との深いつながりを築くことに成功しています。我々もこれらの企業から学び、顧客体験の改善に努めることが、持続的な成長と成功につながるということを忘れてはなりません。
ビジネスの成長を後押しします。今後も、顧客体験の改善とその結果としてのビジネスの成功に向けて、全力を尽くしてまいります。 この記事がCXの理解とその改善の重要性についての理解の一助になれば幸いです。CXについての詳細な情報や私たちのサービスについての詳細は、ウェブサイトの他のページをご覧ください。
顧客体験(CX)が失敗するケース
一方で、顧客体験が失敗する例もあります。United Airlinesの2017年の事件は、その一例です。当時、United Airlinesは飛行機のオーバーブッキング問題により、一人の男性を無理やり機外に排除するという事件を起こしました。この事件はソーシャルメディアで拡散され、大きなバックラッシュを生み出しました。その結果、同社の株価は一時4%下落し、約10億ドルの時価総額が失われました。
さらに別の例として、Vodafone UKのケースもあります。2016年、同社はカスタマーサービスに大きな問題を抱えており、お客様からの問い合わせに対する対応が遅く、不適切な請求などの問題が頻発していました。これにより、Vodafone UKは当時のイギリスの通信業界で最も苦情が寄せられた会社となり、罰金を科される事態にまで発展しました。
大手通信キャリアのコンタクトセンター問題
ある大手通信キャリアでは、一部のコンタクトセンターで、顧客からの問い合わせへの対応が適切でないという問題が報じられました。具体的には、顧客からの問い合わせに対する対応が遅い、解答が不十分である、あるいは問題解決に至らないなど、一部の顧客からは不満の声が上がりました。
この事例からわかるように、コンタクトセンターは企業と顧客をつなぐ重要な接点であり、そこでの対応が企業全体の顧客体験に直接影響を与えます。問い合わせ対応が遅い、あるいは不十分であれば、それは顧客体験の悪化をもたらし、顧客満足度の低下やブランドイメージへのマイナス影響を招く可能性があります。
また、このような問題が発生した際には、その原因を追求し、問題解決のための改善策を迅速に実行することが求められます。この事例の場合、問題の原因はスタッフの教育不足や業務量の過多など、組織全体の問題であった可能性が考えられます。
この事例を通じて、企業が顧客体験の向上に取り組む際には、顧客と直接接するフロントラインのスタッフの教育やサポート体制の強化が重要であることを改めて認識するべきでしょう。
一般論としては、以下のようなCX失敗のパターンがあります。
顧客体験(CX)で失敗するパターン
- デジタル化の推進不足:オンラインサービスの不備やスマートフォン対応の遅れなど、デジタル体験が不十分な企業は、顧客からの信頼を失い易いです。
- コミュニケーションの不足:顧客からのクレームや問い合わせに対する対応が遅かったり、不適切だったりすると、顧客満足度は大きく下がります。
- 商品・サービスの品質問題:商品の品質が低い、またはサービスが不十分な場合、顧客体験は大きく損なわれます。
これらの失敗パターンを避け、改善することで、企業はより良い顧客体験を提供し、顧客満足度やロイヤルティを向上させることが可能となります。
顧客体験(CX)改善の手法
顧客体験の改善には、さまざまな手法があります。まず、データを利用して顧客の行動を理解することです。これにより、顧客が何を求め、どのように感じているのかを把握することができます。また、フィードバックを活用して直接顧客から学び、それを改善に活かすことも重要です。さらに、顧客ジャーニーマッピングを通じて、顧客体験の各ステージを詳細に理解し、改善点を見つけ出すことができます。
顧客体験(CX)の未来
テクノロジーの進歩は、顧客体験の未来を形成しています。AIや機械学習の進歩により、パーソナライズされた体験を提供することが可能になってきています。また、VRやARなどの新たなテクノロジーも、顧客体験をさらに豊かなものにする可能性を秘めています。
さいごに
これらの事例からわかるように、優れた顧客体験は、企業の成功にとって重要な要素です。しかし、それを達成するためには、顧客を理解し、そのニーズに対応する努力が必要です。我々の企業も、顧客体験の改善に全力を尽くしています。我々が提供する製品やサービス、そしてそれらを通じた顧客体験が、顧客にとっての価値を最大化することを目指しています。
我々がこれから目指すべきは、単に商品やサービスを提供するだけでなく、顧客との接触全てにおいて優れた体験を提供することです。それが企業の成長、そして持続的な成功に繋がると信じています。
そして最後に、顧客体験は一度作り上げたら終わり、というものではありません。常に顧客のニーズや期待は変化していきますので、それに対応するための進化と改善が求められます。我々はそのために、日々新しいアイデアやテクノロジーを追求し、顧客にとって最高の体験を創り出す努力を続けます。
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