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    2017.12.27 ロイヤルティ
    ベロアとベッチンとベルベットの違いとは? ~正確な知識の重要性を考える

    photo by photographerpandora

    今回はいつもと趣向を変えてみたいと思います。

    ?今シーズンは、ベロア素材のパンツやスカートが人気アイテムとなっていますが、これと似た見え方をする素材にベッチン(別珍)とベルベットがあります。見え方はほとんど同じで、特にベロアとベッチンは見ただけではほとんど区別ができません。ベルベットは毛足が少し長いので、かろうじて見分けられる程度です。

    同じように見えますが、名前が違うということは別の種類の生地だといえます。ではその違いは何でしょうか?

    「ベロア」と「ベッチン」と「ベルベット」の違い

    企画や製造に携わっている人でもたまに混同している人を見かけますが、企画や製造担当者よりも生地や仕様に詳しくない販売員になると、ほとんどが混同してしまっているように感じられます。

    ですが、残念ながらベロアとベッチンとベルベットは完全に違う生地なのです。今回はその違いについて説明してみたいと思います。

    まず、生地には織物と編み物があります。織物は布帛とも呼び、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)で構成された生地です。ジーンズやスーツ、ワイシャツ、コートなどは織物で作られています。一方、編み物はニットやジャージーなどとも呼ばれ、セーターやTシャツ、トレーナーなどが代表的なアイテムです。

    まず、最大の違いは、ベロアは編み物で、ベッチンとベルベットは織物なのです。ですからベロアはセーターやTシャツのようにストレッチ素材が入っていなくても伸縮性があるのです。また編み目ができていますから、そこから風を通しやすくなります。

    ベッチンとベルベットは経糸と緯糸で構成された織物です。
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    製造法が異なれば、特性も異なる

    しかし、同じ織物ならどうして呼び名が違うのかというとやっぱり違いがあるからなのです。まず、同じ毛足のある織物でも織り方が違うのです。

    ベッチンとは正式には「ベルベッティーン」という名でベッチンはその略称です。経糸と緯糸の織り目の隙間からループ状に糸を上方に出し、そのループを切り分けて毛足にします。原理的にはフェイクファーと同じ作り方で、コーデュロイもベッチンの仲間に分類されます。

    一方、ベルベットは二重織りに属する生地で、二重になった上の面と下の面を糸でつなぎ合わせるようにして織ります。織りあがったら、生地の厚みを真ん中から切り開きます。そうすると毛足のある生地ができあがります。ベルベットはビロードとも呼ばれ、日本では天鵞絨の漢字を当てています。

    さて、もう一つベッチンとベルベットには違いがあります。ベッチンは元々、綿(コットン)素材で作られることが多く、ベルベットはシルクで作られることがほとんどでした。のちにベルベットはレーヨンでも作られるようになり、ベッチンも合成繊維で作られることが増えましたが、元々、ベッチンとベルベットは使用する原料も異なっていたのです。

    ワールドのサイトにわかりやすい図が掲載されていますからこちらもご覧ください。

    ●素材の知識:どれがベッチン、ベロア、ベルベット?
    http://corp.world.co.jp/fashion/material/faq.html?M_MATERIAL=8

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    間違った知識が消費者に広まってしまったジーンズの例

    このように見ると、同じような見え方をする生地でもそれぞれ製造方法が異なり、それゆえに特性も異なることがわかります。

    しかし、プロである企画担当者や製造担当者、販売員がキチンとした知識を持ち合わせずに仕事をしているため、その間違った知識が消費者の間に流布されてしまうことは珍しくありません。

    ビンテージジーンズブームのころ、カッコよく色落ちさせたいなら、ジーンズはなるべく洗濯するなという説が広まりました。デニム生地の色落ちは、摩擦によるものであり、水に濡れて摩擦するとさらに色落ちしやすくなりますから、頻繁に洗濯していては、かなりの速度で全体が薄い色になってしまいます。

    シワの部分が白く色落ちし、本体が濃紺のままというコントラストがカッコいいとされていましたから、頻繁に洗うことはあまり良いことではないというのはわかるのですが、3年とか5年とか洗濯しない人が多く現れ、さすがにそれはやりすぎではないかと感じました。一方、そのころ、デニム生地がすぐに破れるという悩みをこぼす人も多くいました。綿などの天然繊維をもっとも傷めるのは塩分と皮脂です。人間がかく汗には塩分が含まれていますし、体表からは皮脂が出ています。そしてそれを洗い落とせるのは、水洗いしかないのです。ドライクリーニングで皮脂は何とかなりますが、塩分を洗い落とすことはできません。塩分を洗い落とせるのは水洗いのみなのです。

    「ジーンズは洗わないのが正しい」という説を信じて3年間とか5年間とかの長期間、ジーンズを洗わなければどうなるでしょうか。汗に含まれた塩分がたまりにたまって、綿素材を劣化させます。だから、ジーンズが破れやすくなるのです。

    毎日洗う必要はありませんが、3年間もジーンズを洗わないのは、やはりやりすぎなのです。しかし、業界人や雑誌がまき散らしたあやふやな情報がすっかり広まってしまい、結果的に破れたジーンズが多く出てしまいました。
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    販売スタッフはプロとして、正確な知識を身に着けよう

    衣料品は販売にも企画製造にも資格は要りませんから、参入障壁が低く、それだけに新規参入も容易いのですが、だからといって、いい加減な知識やあやふやな販売トークは許されません。売る人間も作る人間も厳密な知識を身に着けることは必要不可欠だといえます。

    SHAR

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