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    2025.05.10 顧客体験
    【コラム】推し活と体験価値──人が“心を動かされる瞬間”の設計とは

    推し活

    先日、「推し活」を事業にされている方とお話をして、多くの気付きがありました。改めて「推し活」を考えてみたいと思います。

    :なぜ人は「推す」のか──共感と感情のエンゲージメント

    「推し活」という言葉が、今や日常語になりました。アイドルやアーティスト、アニメキャラクターから、プロスポーツチームやお笑い芸人、果ては地元のパン屋さんまで、人はさまざまな対象を“推す”ようになっています。この現象は、単なる消費や応援行動ではありません。

    推し活の本質とは、自己投影と共感による“心の動き”です。「この人を応援したい」「この世界観を一緒に育てたい」という気持ちの奥には、自己承認や所属意識、未来への希望といった感情が強く関わっています。これは、顧客体験(CX)を設計するうえでも極めて重要な視点です。

    例えば、ある若者がK-POPグループを推しているとします。彼女はSNSでメンバーの投稿にリアクションを送り、ライブでペンライトを振り、推しが登場する雑誌を購入します。そこにあるのは、単なる消費ではなく「一緒にストーリーを歩んでいる」という体験。推しが成功すれば自分も誇らしく、挫折すれば共に涙を流す。感情を共鳴させる関係性こそ、推し活の核心なのです。

    企業がCXを考えるとき、ここから学べることは多いはずです。顧客は製品やサービスだけを評価しているわけではありません。企業の姿勢やストーリー、ブランドの価値観に“共感できるか”が、ロイヤルティを大きく左右します。Z世代を中心に、消費は「意味のある体験」へと進化しているのです。


    :推し活は「体験の連続性」──一瞬では終わらないブランド設計

    推し活が面白いのは、それが“一度きりのイベント”ではなく、長期的な関係の中で深化していくという点にあります。ファンは、推しの誕生日、記念日、ツアー、グッズリリースなど、年間を通じてさまざまな“体験”に参加します。そのすべてが、ストーリーの一部であり、記憶に残る接点になります。

    これは、ビジネスにおけるブランド体験にも置き換えられます。たとえば、あなたがあるカフェの常連客だとしましょう。スタッフの「今日もお疲れさまです」という一言、いつものドリンク、ポイントカード、SNSでのキャンペーン情報……そのすべてが“あなたとそのカフェ”の物語を紡いでいます。まさに、推し活と同じ構造です。

    体験価値経営を実践する企業が目指すべきは、この「物語の一部になること」です。商品が売れる、サービスが使われる。それだけでは不十分です。そのプロセスを通じて、顧客の記憶や感情の中に“残る存在”になれているか。そこがファンを生む分岐点です。

    推し活では、オフラインとオンラインの連携も巧みに設計されています。ライブに行けない人も、SNSやYouTube、フォトカード、オンラインサイン会などを通じて“参加”できます。ここに学ぶべきは、「体験のチャネルを分けない」姿勢です。顧客からの見え方で考えることにより、すべての接点が一貫してユーザーにとって“推している実感”が得られることが、満足と継続につながっています。


    :「推される会社」になるためのCX戦略

    では、企業はどうすれば「推される存在」になれるのでしょうか。答えは明快です。

    顧客が“好きになれる余白”を設計すること。

    製品スペックや料金だけではなく、共感できるストーリー、人間的な対応、期待を上回る瞬間……そうした体験の積み重ねが、「推したくなる企業像」をつくっていきます。

    たとえば、ある美容室では、お客様が来店するたびに前回の会話や悩みをさりげなく覚えて対応してくれます。その積み重ねに「推したくなる」気持ちが芽生えるのです。また、あるBtoB企業では、導入後のサポート体制や担当者の人間味が顧客に高く評価され、「取引先というより、応援したいパートナー」とまで言われていました。これは、まさにCXの力です。

    企業にとって大事なのは、“顧客のエンゲージメントの火種”を見逃さず、丁寧に育てていくこと。マニュアル通りではなく、個別対応に心を込められる余白、サプライズを設計できる柔軟さ、そして「人」が見える距離感。推される存在には、必ずそうした“人間味のある体験”が宿っています。

    まとめ:「推される会社」になるためのCX戦略

    推し活に熱中する人たちは、単なるファンではありません。「共に歩む仲間」だと感じているからこそ、行動し、シェアし、支え続けるのです。

    そしてその構造は、今まさにCX経営が目指す世界と重なっています。

    商品を売る企業から、共に歩む“推されるブランド”へ──。それがこれからの顧客体験のあるべき姿なのではないでしょうか。

    SHAR

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