2016.05.17
顧客体験
【イギリス訪問レポート】ポイントや値引きに頼らない!老舗スーパー「ウェイトローズ」は顧客体験重視のロイヤルティ・プログラムが大人気
トータル・エンゲージメント・グループ コンサルタントの藤谷拓です。
今年の長いゴールデンウィークにプライベートで訪れた海外旅行先で「Waitrose」という高級スーパー(日本で言うクインズ伊勢丹?成城石井?)に連れて行ってもらいました。
「実は、新しいビジネスモデルのスーパーがあって、すごく流行っている。見に行ってみるか?」
私がスコットランド人の友人にエンゲージメントについて説明していたら、このスーパーを紹介されました。なんでも、従来とは全くことなるやり方で顧客体験を向上させ、着実に成長しているとか。
そこで、今回はこの訪問を通して実際に触れた全英ナンバーワンの高級スーパーWaitroseのCX(Customer Experience, 顧客体験価値) 向上への取り組みを紹介したいと思います。
これから顧客満足度の調査・活用に基づき改善をしていきたい企業の方に、ぜひ知っていただきたい内容です。
目次
イギリスの老舗高級スーパー「Waitrose」の概要
Waitroseの歴史は長く、実は英国でも老舗なスーパーです。Wyndham Waite, Arthur Rose, David Taylorの3名にて1904年に創業。それから、いくつかの吸収合併などを重ねて、現在の規模(全英200店舗以上)まで発展。
創業当初からの「お客様に高品質なものを適正な価格で提供する」という思いは変わらないようですが、その一方でお客様への店舗サービスは時代とともに劇的な変化を遂げています。
ポイントや値引きに頼らない、顧客体験特化型プログラム「myWaitroseCard」を導入したのはその象徴かもしれません。会員数は600万人以上を誇り、100年以上の歴史を有しながら、今なお大手高級スーパーとして成長を続けています。
「ポイント制度」の欠点は、購入額で待遇を変える「ロイヤルティ差別」
リテール業界でもっとも有名なロイヤルティ・プログラムといえばポイント制度が挙げられます。多くのポイント制度は顧客の購入額に応じてポイントを付与するシステムになっており(例えば、1,000円につき1ポイントなど)、会員カードなどを発行しポイントを記録、蓄積できるシステムのものが一般的です。貯まったポイントは、値引きやキャッシュバック、特典との交換などに利用することができます。つまり、「お得感の訴求」を目的としています。
このポイント制度の欠点は、顧客をその購買額により「ロイヤルティ差別」することにあります。購入額によりお客様への待遇を変化させるのは、顧客視点から見るとお客様の心情や体験は無視されており、お客様がお店に対してロイヤルティを感じることにはつながっているとは言えません。
Waitroseの顧客体験特化型ロイヤルティ・プログラム「myWaitroseCard」
そこに一石を投じたのがWaitroseの「myWaitroseCard」でした。
「そもそも、ポイントとは何なのか?」
「ポイントなんかよりも、もっと他のやり方でお客様と密な関係が築けるはずだ。」
「ポイントカードで値引きすることなんて、お客様は望んでいない。その値引き原資でコーヒーのサービスや新聞をプレゼントするほうがお客様は喜ぶし、お客様のロイヤルティは向上する」
と、Waitrose 最高責任者Mark Price氏は述べています。
「お得感の訴求」でもなく、「ロイヤリティ差別」でもないWaitroseの顧客体験特化型ロイヤルティ・プログラム。では、いったいどんな顧客体験が待っているのでしょうか。
購買額やポイント数に関係なく「Wow!」を届けるWaitroseの新しい顧客サービス
Waitroseは会員になってくれるお客様が「本当に価値を感じてくれるサービス」を、その購買額やポイント数に関係なく即座に提供できる仕組みとして設計しています。
お店を訪問してまず驚いたのが、会員であれば誰でも来店し、ラウンジで無料のコーヒーやお茶を楽しむことが出来ることです。もちろん、くつろぎのラウンジスペースとフレンドリーで丁寧な接客も付いてきます。
Waitrose / renaissancechambarawaitrose cricket / osde8info
買い物前にちょっと休憩。
買い物後にちょっと休憩。
こんな我儘をかなえてくれるWaitroseは、普段の買い物を少し特別な体験に変えてくれました。
このサービスはとても好評で、Waitroseは数あるコーヒーショップをおさえ、なんとコーヒー供給率全英第2位の地位を保持しています。
その他に、実際に行って感じた英国発の高級スーパーWaitroseの特徴を簡単にまとめてみました。
・(コーヒーブレイク効果も有り)ゆっくり買い物ができる
・通路が広く、スーツ姿のスタッフが通路に立って買い物のサポートをしてくれる
(保険の外交員のような出で立ち)
・在庫を確認すると、「いいわ。持ってくるから買い物を続けてて!」的なフレンドリーさ。
・友人曰く、アルバイトでも自社株が持てる。(店舗の成長が自分の実入りに繋がる?)
・「高級」と、いうがじつは全く高くない。
Greg Barker visits Waitrose Bracknell / DECCgovuk
“Wow, this is very different.” 「全然違う!」
入店したお客様にそう感じていただけるため、Waitroseは、更に10~15にも及ぶ大規模な変革を来年上半期中にも実施予定のようです。
顧客体験向上を中心に変化を続けるWaitrose。今後も注目していきたいと思います。
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Facebook : 藤谷拓
お問い合わせフォーム
【出典・参考記事】
http://www.waitrosememorystore.org.uk/page_id__65_path__0p4p.aspx
http://www.mumbrella.asia/2016/03/unrequited-loyalty-brands-must-start-valuing-faithful-customers/
http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/retailandconsumer/10538458/Waitrose-boss-attacks-meaningless-loyalty-cards.html
顧客体験(CX)、NPSに
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