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    2025.02.24 顧客エンゲージメント
    【コラム】BtoBでも「体験」がポイント! 企業顧客の購買心理を変えるCX戦略

    B2Bマーケティング

    BtoBマーケティングや営業において、「なぜ良い製品・サービスを提供しているのに選ばれないのか?」という課題に直面する企業は少なくありません。「ウチのサービス、機能も価格も競争力あるのに、なぜ選ばれないんだろう?」BtoBの営業・マーケ担当なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるはず。当社もまさにB2B企業なので日々担当ともに、あれやこれやとアイデア出し合っています。

    実は、従来、価格やスペックの優位性が決め手になると考えられていましたが、ここ数年での商談で若干変わってきたのではと考えております。

    「この会社となら、スムーズに進められる」「この担当者なら信頼できる」といった“感覚”や“体験”が意思決定に占める比重が高まっています。「体験価値(CX)」が購買の最重要要素になりつつあります。この辺は知人でもあるTORiX株式会社の高橋浩一さんの著書「無敗営業」の中でも顧客理解の重要性を書かれています。

    無敗営業

    無敗営業

    特にBtoBでは、1つの購買決定に複数の関係者が関与するため、「誰が」「どのタイミングで」「どんな課題を抱えているのか?」を理解し、最適な体験を提供することが、成約につながるカギになります。

    今回は、CJMを活用した顧客理解と、担当者視点での戦略設計について解説します。

    BtoBの購買プロセスは「ひとつの視点」で考えてはいけない

    BtoBにおける購買決定は、担当者一人が決めるものではなく、複数の関係者(ステークホルダー)が関与するため、そのプロセスを理解することが不可欠です。

    例えば、新しいITツールを導入する場合、以下のような役割の人たちが関与します。

    📌 現場担当者(利用者):「このツールで業務が本当に楽になるのか?」

    📌 部門責任者(決裁者):「導入することで、チームの生産性が向上するのか?」

    📌 財務担当者(購買部門):「この投資が費用対効果に見合っているのか?」

    📌 IT部門:「自社システムと連携できるのか?セキュリティの問題は?」

    こうした異なる立場の人たちが、それぞれの課題や期待を持ちながら購買プロセスに関与します。

    よくある失敗例として、「導入後のメリット」を強調しすぎて、導入前の不安(トライアルの有無、移行コスト、導入サポート)に十分配慮できていないケースがあります。

    だからこそ、CJMを活用し、各フェーズごとに「誰が」「どんな不安や期待を持っているのか」を可視化することが重要なのです。

    CJMで「顧客の立場」に立つことで、提案の精度が上がる

    CJM(カスタマージャーニーマップ)は、顧客の購買プロセスをフェーズごとに分け、それぞれの段階で抱える課題や感情を整理するフレームワークです。

    BtoBの購買ジャーニーは、一般的に以下のようなフェーズで構成されます。

    フェーズ 顧客の課題・疑問 最適なアプローチ
    認知(Awareness) 「どの企業が自社の課題を解決してくれるのか?」 SEO・広告・展示会・ホワイトペーパー
    情報収集(Consideration) 「この製品・サービスは本当に使えるのか?」 導入事例・デモ・無料トライアル
    比較検討(Evaluation) 「競合製品と比べて何が違うのか?」 詳細な価格・機能比較・FAQ
    購入決定(Decision) 「導入がスムーズにできるのか?」 契約プロセスの簡素化・サポート体制の説明
    導入・活用(Implementation) 「本当に業務が効率化されるのか?」 オンボーディング・カスタマーサクセス

    このように、購買プロセスをフェーズごとに整理し、顧客が何を考えているのかを把握することで、「今どの情報を提供すべきか?」が明確になります。

    例えば、

    現場担当者が「このツールは本当に便利か?」と迷っているなら、実際の導入事例や無料トライアルを提供する。

    決裁者が「ROI(投資対効果)をどう説明するか?」と悩んでいるなら、具体的なコスト削減事例を用意する。

    このように、CJMをもとに「相手の立場に立った情報提供」を行うことで、購買プロセスをスムーズに進めることができるのです。

    担当者がCJMを活用するための実践ポイント

    CJMの概念を理解するだけでは、実際の営業やマーケティングに活かすことは難しいものです。

    そこで、BtoBの営業・マーケ担当者がCJMを実践的に活用するためのポイントを紹介します。

    ① 顧客インタビューを通じてリアルな課題を把握する

    • 既存顧客へのヒアリングを行い、「どの段階で最も不安を感じたのか?」を把握する。

    • 営業担当者とカスタマーサポート担当者が連携し、「顧客がつまずきやすいポイント」を共有する。

    ② マーケティングと営業の連携を強化する

    • 営業が「この資料があれば成約率が上がる」と感じたものをマーケティングチームにフィードバックする。

    • 逆に、マーケティングチームが「リードの購買フェーズを把握し、適切な情報を提供する」ことで、商談の質を向上させる。

    ③ 定期的にCJMを見直し、アップデートする

    • 市場の変化に応じて、顧客のジャーニーも変わるため、定期的に分析を行う。

    • 競合が新しい施策を展開した場合、それに応じた新たな体験価値を設計する。

    担当者視点での戦略設計

    A社とB社、スペックは同じ。でもB社は問合せ対応が早く、導入の不安をしっかり解消してくれたのでB社を選んだ。

    見積もり対応がスムーズで、意思決定者が納得しやすい資料をすぐ送ってくれたから、A社よりC社の方が話を進めやすかった。

    製品導入後のサポートが手厚いと評判だったので、少し高くてもB社を選んだ。

    このように、BtoBの購買意思決定は、「購入前」「購入中」「購入後」の体験すべてが影響するのです。特に、導入までの不安を解消し、顧客に安心感を与えられる企業が強い。

    ① 企業ごとにパーソナライズした「価値ある情報」を提供する

    BtoB購買担当者は、「自社に合った情報」を求めています。ただし、ありきたりな製品紹介や一般的な成功事例では心に刺さりません。

    業界別・企業規模別の導入事例を提示し、「自分たちの課題を解決できる」と実感させる。

    ターゲット企業の課題を事前に分析し、具体的な提案を交えたホワイトペーパーや資料を提供する。

    「よくある質問」ではなく、リアルな導入プロセスやトラブル対応事例を伝えることで、導入後の安心感を持たせる。

    💡 事例:ITツールのBtoB営業が成功した理由

    あるSaaS企業は、ターゲットごとに**「自社と同じ業界の成功事例」**を用意し、Webサイトや営業資料で個別に提供。顧客は「このサービスが自社にフィットする」と確信しやすくなり、コンバージョン率が35%向上した。

    ② 購入プロセスをスムーズにし、「選びやすい企業」になる

    どんなに良い製品でも、検討プロセスが煩雑だったり、レスポンスが遅かったりすると、企業担当者は不安を感じます。

    問合せから1営業日以内に返信するなど、レスポンスのスピードを上げる。

    価格・導入プロセス・サポート内容などを明確にし、担当者が社内で説明しやすいようにする。

    オンラインデモや無料トライアルを活用し、「導入後のイメージ」を持たせる。

    💡 事例:問い合わせ対応を改善した企業が成約率アップ

    あるBtoB企業は、「問い合わせ対応の平均返信時間」を1営業日以内に短縮し、導入ステップを明確化。結果、問い合わせからの成約率が40%向上した。

    ③ 導入後のフォローを徹底し、「長期的な関係」を築く

    一度の契約が終わりではなく、「またこの会社と取引したい」と思わせる体験を提供することが重要。

    導入後の活用支援を定期的に行い、「使いこなせる環境」を作る。

    顧客ごとのデータを活用し、「次に必要なサービス」を提案する。

    ユーザー会や勉強会を開催し、顧客同士の成功事例をシェアする場を作る。

    💡 事例:継続率を高めた企業の取り組み

    あるクラウドサービス企業は、導入後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月のタイミングで「活用状況チェック」を実施。顧客がスムーズに利用できるようにフォローし、解約率を20%低下させた。

    BtoBの「CX戦略」が成果につながる理由

    BtoBの購買決定は、「製品スペック」や「価格」だけでは決まりません。導入のしやすさ、レスポンスの速さ、アフターサポートの充実度が、最終的な選択を大きく左右します。

    💡 つまり、企業が取り入れるべきCX戦略とは?

    「相手の立場」で考えたCJMをベースに、全スタッフが顧客中心に対応をすることで成果に結びつけられる。

    パーソナライズした情報提供で「この会社なら信頼できる」と思わせる

    購入プロセスをスムーズにし、「選びやすい企業」になる

    導入後のフォローを徹底し、長期的な関係を築く

    まとめ:BtoBの成功は「相手の立場」に立つことから始まる

    BtoBの購買プロセスは、単純な「機能×価格」の比較では決まりません。顧客のジャーニーを理解し、適切なタイミングで適切な情報を提供することが、購買の意思決定を加速させる最大のポイントです。

    「この製品は良い」ではなく、「この製品を選びやすい体験」を作る

    「競合より安い」ではなく、「競合よりもスムーズに導入できる仕組みを提供する」

    「営業の説得」ではなく、「顧客が自ら納得できるストーリーを作る」

    CJMを活用し、顧客の立場に立ったアプローチを実践することで、「選ばれる企業」へと進化することができます。

    今こそ、BtoBの営業・マーケティングにCX視点を取り入れる時代。あなたの企業は、CJMを活用できていますか?

    SHAR

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