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    2019.10.29 NPS
    多店舗展開しているショップがNPSアンケート調査をする上で注意すべきポイント

    多くのショップを運営していてNPSの導入を検討している企業の担当者にとって、多店舗でのNPSアンケート調査の実施は頭を悩ませるところですよね。今回は、多店舗展開している企業のお客様へのNPSアンケートの実施にあたって、よくある質問に対して回答いたします。

    NPSアンケート調査は百貨店やテナントビルでは実施できないですよね?

    店舗が百貨店やテナントビルに入居している場合、お客様へのNPSアンケートを実施する際には、事前に館の許可を得なければなりません。しかし、実際には、館から許可をもらえるケースはあまり多くはありません。以前と比べると、許可をしてくれるところが増えてはいるものの、基本的には許可は下りないと考えておいた方が無難です。特に百貨店の場合はほぼ許可をもらえないと考えておきましょう。来場されるお客様は自社のお客様と考えているからです。

    全店舗で一斉にNPSのアンケート調査を実施できなくてもNPS導入の成果は変わらないでしょうか?

    はい!
    そもそもNPS調査は、全店舗、あるいは全社で一斉に取る必要はありません。NPSを中心としたアンケート調査を実施することの目的は、顧客の生の声を収集・分析することで、顧客との様々な接点の中で、どのプロセスが顧客満足度においてボトルネックとなっているのかを把握すること。また、その反対に、どのプロセスが顧客満足度の底上げをしている強みなのかを明らかにし、改善策をスピーディーに実施し、顧客満足度や自社に対するロイヤルティを向上してもらうことにあります。
    各店舗でアンケートを取り、現場レベルで改善策を考え、実践し、検証、さらなる改善策の立案というPDCAを回し、それらのデータを本社に共有することで、本社には顧客満足度や顧客体験に関する膨大なデータが集積されます。そのようにして集積された現場レベルのナレッジを全社に共有することで、各現場において、より具体的で精度の高い対策を打つことが可能となり、全社レベルで顧客満足度を向上させていくことができるのです。ですから、必ずしも、一斉にアンケート調査を行わなければならないというわけではありません。

    NPSアンケートデータを分析する際に注意すべきポイントはどんなことでしょうか?

    同じブランドの店舗であっても、駅中の店舗かロードサイド店か、あるいは、首都圏の店舗か地方都市の店舗かによって、店舗の作りや客層が大きく異なる場合が多いでしょうし、さらには地域性の違いもあるでしょう。またスタッフが1000人もいるような大型店もあれば、数人で回せるような小型店もあります。つまり、ロケーションや規模、またはコンセプトによって、サービスもオペレーションも全く異なるはずです。

    このように店舗の属性が大きく異なる場合は、予め、幾つかにグルーピングをして調査をする必要があります。店舗の属性が違えば、お客様の客層もニーズも動線も異なるので、それらをひっくるめてデータを分析しても、本当に解決すべき課題がどこにあるのか見出すことができないからです。
    最も理想的なアンケートの取り方は、それぞれのグループごとにどこに課題があるのか予め仮説を立て、その課題に対するお客様の声を正確に分析できるようなアンケート項目を用意しておくことです。そうすることで、いち早く現場レベルで的確な分析と対策を打てるようになるのです。

    NPSだけでなく、同時にどんなアンケートをとれば良いでしょうか?

    既に自店の課題が絞られていて、それを改善できればロイヤルティが上がると確信できている状態であればNPSのモニタリングだけで十分だと思いますが、そうでない場合は、ロイヤルティに影響を与えると思われる顧客体験に関するアンケート調査を実施することがとても重要になります。なぜならば、NPSのデータを収集するだけでは、顧客が自社のサービスや商品を購入・利用するプロセスのどの点において、満足しているのか、また、そうではないのかを細かく分析することができないからです。ですから、このアンケート調査は、顧客中心文化の組織へと自社を変革させる上で、課題と解決策の仮説の精度をスピーディーに高めるためにも重要な施策となります。
    そのアンケートは、大きく分けるとリレーション調査とトランザクション調査の二つに分けることができます。

    ◆リレーション(関係性)調査◆
    カスタマージャーニー上のどのタッチポイントがお客様にとって重要なのかを見極めるためのものです。ですから、例えば、テレビCMの印象や商品構成について、あるいは商品の価格帯や店舗内の商品の陳列の仕方について、さらには梱包の仕方についてなど、平均的には40~50問の質問で構成されています。リレーション調査については、まれに店舗でお願いする場合もありますが、多くの場合は、年に1回ほど、アンケート用紙を郵送して回答していただく形式をとります。

    ◆トランザクション(体験)調査◆
    カスタマージャーニー上で、スタッフが直接お客様と関わるプロセスにおいて、どのタッチポイントがお客様にとって重要かを見極めるための調査です。それ故に、リレーション調査と違い、現場レベルですぐに改善することのできるVOCを収集できるため、クイックに施策を考え実行することができるという利点があります。そのため、トランザクション調査は、買い物が終わった後に実施するのが一般的で、3~4分で回答していただけるよう10問程度のボリュームに抑えておきます。
    トランザクション調査を1ヶ月に1回など定期的に実施し、店舗内で学習・改善を継続することで、現場スタッフの自立行動を促すことができるだけでなく、お客様とリーダーからの承認を得ることでモチベーションアップにも繋がり、スタッフの生産性が底上げされます。

    まとめ

    NPSのアンケート調査は、必ずしも全店舗で一斉に実施する必要はありませんが、実施が可能な店舗では、できるだけ多くの具体的なお客様の声を取るようにしましょう。NPSアンケートが実施できる店舗であれば、NPSの設問以外にも、カスタマージャーニーを元に独自のアンケートの設問を作り、顧客がどのポイントに満足してくれているのか、あるいは、不満を抱いているのかを分析できるようにしましょう。

    そのような設問を設定することで、何を改善すればNPSの数値が上がるのかがわかってきます。顧客目線で改善ポイントの優先順位をつけることができることが、この調査の最大のポイントです。
    また、多店舗展開をしているのであれば、他店の改善状況などを共有できる全社横断型のチームを作るのも良いでしょう。
    このような改善ストーリーを作ることが、より早く自社へのロイヤルティを高めるための肝になります。

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