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    2018.02.20 ロイヤルティ
    完璧なプランにこだわりすぎていませんか? 厳しい環境だからこそトライ&エラーで修正することが重要

    ファッション業界の中にはいまだに「ユニクロ悪玉論」を唱える人がいて唖然とさせられます。

    ?先日、僕と同い年の業界人と話す機会がありました。今年47歳です。彼はすごくおしゃれで、一流ブランドで身を固めています。コレクションブランド、トラッドブランドが大好きでそういうブランドのスーツやブレザー、靴などを数えきれないほど持っています。休日をすごすカジュアルは、リーバイス、ノースフェイス、ナイキなどの定価品・別注品です。決して、ライトオンやマックハウスあたりで値下げされている商品を買っているのではありません。

    25年前のファッション事情

    そんな彼ですが、「今の若い人たちは安くておしゃれな物がいくらでも手に入ってうらやましい」と言います。この点に関してはまさに同感です。ユニクロを筆頭とするジーユー、ウィゴー、ライトオンなどの国内低価格ブランドはあまたあり、ZARA,H&Mに代表されるグローバル低価格ブランドも数多く上陸しています。

    まさにどこかのファッション雑誌ではありませんが、「必要なのはお金じゃなくてセンスです」という時代です。選び方とコーディネイトさえ間違えなければ驚くほど安い投資でそれなりのファッションが楽しめます。

    そんな彼と我々が若かった25年前のファッション事情の話に花が咲きました。今の10代~30代の若い人には信じられないでしょうが、25年前にはファッションブランドには3種類しかなかったのです。

    1、 数万円という高価格でデザイン性の高いDCブランド
    2、 1万円弱でまあまあなデザインの洋服がそろうジーンズチェーン店
    3、 低価格だがデザインがイマイチなジャスコやイトーヨーカドー

    という3種類です。

     

    高価格ブランドと低価格ブランドの見た目の差が大きかった時代

    今でこそ、イオンやイトーヨーカドー、西友などの大手スーパーの洋服売り場でもマシなデザインの商品がそろうようになりましたが、25年前は、大手スーパーで売っている1900円の服と数万円するDCブランドの服の見た目には雲泥の差がありました。洋服の情報なんてこのころから単一に限られているので、同じ情報をもとにデザインし、製造しているはずなのですが、形、シルエット、色・柄、使用素材の見え方、そのすべてが違っており、全くの別物でした。

    もちろん、1900円の服とジーンズ専門店の服も全然違いましたし、ジーンズ専門店とDCブランドの服も全然違いました。その商品が欲しければジャスコでは代用できなかったのです。ですからDCブランドの高い服が売れましたし、リーバイスやエドウインなどの9000円くらいのジーンズも飛ぶように売れました。低価格代用品が存在しなかったからです。

    商品の見た目だけでは差別化できない時代

    今はどうでしょうか?高価格ブランドと低価格ブランドの商品の見た目にそこまで差があるでしょうか? 下手をするとユニクロの商品の使用素材のクオリティのほうが高い場合までありますし、ユニクロに引っ張られるようにイオンや西友の商品までが見た目が良くなっています。

    こうなると、何も無理に数万円のブランドや1万円くらいするリーバイスのジーンズを買わなくても良いということになります。極めて合理的な消費者判断であり、当然の結果といえます。

    厳密にいえば、差はあります。使用素材にも差はあります。しかし、25年前ほどの差ではなく、僅差に縮まっているといえますし、その差は今後さらに狭められることになるでしょう。それを製造するための業界インフラは完全に備わっているのです。あとはどう使いこなすかという問題なのです。

    こうなってくると、商品の見た目だけでは差別化できにくくなります。売り方や見せ方、発信の方法を考えなくてはならなくなります。「ユニクロ悪玉論」「グローバル低価格ブランド悪玉論」を唱えている人の考え方は25年前でとどまったままだといえるでしょう。

     

    IT技術を駆使した衣料品の新しい売り方

    一方、衣料品業界でもIT技術を駆使した新しい売り方が生まれています。ウェブでの通販のみでは素材感や着用感、サイズ感がわかりにくいから試着用のショールームを作るという取り組みもあります。また単なるウェブ通販ではなく、自前の物流システムでは宅配できないという理由もありますが、ウェブで受注して店舗で受け取るという、「疑似EC」とか「ウェブ客注」ともいうべき取り組みをしまむらが開始しました。

    しまむらのシステムは、郊外立地が多い店舗へわざわざお客が出向くのかという疑問がありますが、逆に、もし何かで「わざわざ出向く」ことが状態化すれば、店舗で追加買いが期待できるというメリットもあります。いずれにせよ、机上の空論のみでドンドン推進するべき案件でも、却下するべき案件でもありません。すべてはトライ&エラーで修正し続ければ良いだけのことです。

    衣料品不振といわれている環境だからこそ、トライ&エラーが必要

    このような新しい取り組みが起きている状況にあって、旧態依然とした売り方や根性論だけのブランド運営がどれほど収益をもたらすのでしょうか? ファッション業界、流通業界はこれまでの状況悪化が骨身にしみて、「確実に安全なプランが出るまで動きたくない」という企業や店舗が多いように感じられます。しかし、机上のプランニングだけで完璧な計画など立てられる可能性は極めて低く、実践しながら修正するほかないのです。

    兵法には、「兵は拙速を貴ぶ」とあります。巧遅(上手いが遅い)よりも拙速(下手でも速い)が重要なのは戦争だけのことではなく、各分野のビジネスでも同じではないでしょうか。衣料品不振といわれている環境だからこそ、拙速を貴んでもらいたいと思います。

    SHAR

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