2014.07.22
従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントにつながる「笑い」と「遊び心」
いつも締切に追われている、売り上げを達成しなければいけない等々、厳しい状況の中で、職場の雰囲気が何となく暗かったり、緊張感でピリピリしていたり、会話がなく妙に静かだ、なんてこともあるかもあるかもしれません。もちろん仕事は真剣に取り組むのが大前提ですし、従業員が無駄話ばかりをしていているのは問題ですが、「真剣に取り組むこと=効率アップ」というのが必ずしも正しいというわけではなく、ある程度の遊び心や従業員同士のコミュニケーションから生まれる笑いが職場によい効果をもたらすということが様々な研究で証明されています。
「笑い」と「遊び心」が職場にもたらす恩恵
「笑いは万病の薬」という言葉が表すように、笑うことで血流がよくなり、リラックスと快眠をもたらすという健康面での効果はもちろん、仕事の面でもその効果は証明されています。「ストレスホルモン」と呼ばれるコルチゾール、ドーパミン、アドレナリンの血中濃度を下げ、仕事などで受けるメンタル面のストレスを和らげるのだとか。このストレスホルモンは生産性や創造性を低くしてしまうとも言われており、笑うことがどれだけ仕事の生産性や創造性に影響するかが分かります。また、ユーモアのあるコミュニケーションをとる上司のもとで働く部下のパフォーマンスは非常に高くなる、という研究結果もあります。
遊び心を職場に持ち込むことの効果は、「遊びスイッチ、オン!―脳を活性化させ、そうぞう力を育む『遊び』の効果」という本で見ることができます。「遊び」は、私達を様々な抑圧から解き放ち、視野を広げてくれるとても重要なもの、普段の生活に遊びを取り入れることで笑いに包まれ、心が穏やかになり、日常のストレスから解放されるとあります。またその遊びを仕事に取り入れることで、人間関係がスムーズになり、創造性を高め、革新性の源泉となるのだとか。本書の著者の一人である遊びについての研究のパイオニア、スチュアート・ブラウン博士の下記のビデオもぜひ見てみてください。大人になっても遊びを続けることが私達をより幸せにし、遊ぶことによって問題解決が図られることや問題解決能力が上昇することなどを見ることができます。
ted.com
成功と幸福=「笑い」と「遊び心」
以前「従業員エンゲージメントの高い『幸せ』な従業員が会社成功のカギ!」の記事でご紹介した「幸福学」の権威であるアメリカのビジネスコンサルタント、ショーン・エイカー氏が、自身の著書、『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』で「仕事、健康、友情、人間関係、創造性、活力などすべての分野において、幸せが成功に先行する」と指摘していましたが、様々な研究結果や、ブラウン博士、エイカー氏の話をまとめると、成功と幸福の秘訣は笑いと遊びにある、と言えます。
『トイ・ストーリー』、『モンスターズ・インク』 『ファインディング・ニモ』などを生んだアメリカの映像制作会社、 ピクサーがいい例です。数々の大ヒット作品を生み出すピクサーのスタッフの創造力の源泉は、遊び心にあふれ、笑顔が生まれる楽しい職場環境にあります。自分の好きなもの、好きな世界に囲まれるピクサーの環境は、インスピレーションをもたらし、自由な発想力を高めてくれるもの。それがいい作品を生み、世界的成功につながったのだと言えます。
「笑い」と「遊び心」と「従業員エンゲージメントフロー」の関係性
ピクサーの例を下記の「従業員エンゲージメントフロー」に置き換えてみましょう。ピクサーの遊び心と笑いにあふれた職場環境は、「優れた従業員体験の提供」や「従業員共感・愛着の獲得」にリンクしています。だからこそ「サービス品質向上」→「持続的成長」というポジティブなフローを生み出すサイクルへとつながっています。
以前とても自由な風土の企業に勤めていた時、月に1度か2度、会議室に皆で集まってコメディ映画を見たり、部署のメーリングリストで面白い動画を共有したり……ということが日常的に行われていました。今振り返ると、一緒に笑う機会が多かったことで部員間の関係もよく、疲れた心や体をリセットして「さて、またがんばろう」という気持ちの切り替えにつながっていました。
それぞれの企業風土によってどのような笑いと遊び心が従業員の共感や愛着を育てるのかも違ってくると思いますし、全ての企業がピクサーのような環境を提供するのは難しいかもしれませんが、笑いと遊び心の重要性を理解して、バランスよく職場環境に取り入れることで、顧客エンゲージメント強化につなげていきたいですね。
引用①http://umm.edu/news-and-events/news-releases/2005/school-of-medicine-study-shows-laughter-helps-blood-vessels-function-better#ixzz2qfYaJPA3
引用②
http://www.psu.edu/ur/archives/BUSINESS/Humor.html
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