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    2015.06.26 従業員エンゲージメント
    日高屋は、「ここで働いてみたい」と本気で思わせる会社だった

    低価格のラーメンを看板商品としてきた中華チェーン店と言えば、幸楽苑と日高屋。ところが先日、東洋経済オンラインで「幸楽苑と日高屋、なぜ明暗が分かれたのか」(2015.06.10)という記事を読み、10年前には売上で2倍以上の差をつけていた老舗の幸楽苑が、最近ではライバルの日高屋に売上高の差を縮められ、収益力にも大きな差がでてきていることを知りました。

    幸楽苑と日高屋の明暗が分かれた一番の理由とは?

    日高屋が成長している理由には、「ちょい飲み」の需要を獲得できていることがあるようです。東日本を中心に約520店を展開する幸楽苑、首都圏を中心に約360店を展開する日高屋、店舗数で言えば幸楽苑の方が断然多いのですが、駐車場付の店舗が多い幸楽苑は、車で来店する客が多く、その客にアルコールを提供することはできません。一方ほとんどの店舗が駐車場のない都市型の日高屋は、電車やタクシーで帰る客が大半なので飲酒運転の心配はありません。

    日高屋でちょい飲みをする客が多いのは、飲酒運転の心配がないということだけでなく、居酒屋よりも安くちょい飲みできる、中華なのでお酒によくあうということが理由にあるようです。そのため日高屋は餃子・おつまみのメニューを目立たせることで、ちょい飲みを誘っています。一方、車で来店する客やファミリー層の多い幸楽苑のメニューは日高屋のそれとは正反対。

    普通の中華店のアルコール販売比率は3%だそうですが、日高屋は15%と突出した高さを誇っています。アルコールは原価率が低いため、ちょい飲みを誘うことが収益性の高さにつながり、家賃の高い都市型の駅前店舗でもやっていけるということですね。まさに、店舗の立地やメニュー構成の戦略が功を奏したということではないでしょうか。

    でもこの成長につなげているのは戦略だけではありません。「客も働く人も地域も幸せにするラーメン屋を目指す」という日高屋の思いが後押ししているように思います。

    人情経営と地域に愛されることを大切にする日高屋

    日高屋(株式会社ハイデイ日高)のサイトを見ると、CS(顧客満足)だけでなく、ES(従業員満足)SS(地域・仕入先との共栄共存)を重視していることが伺えます。

    「駅前に日高屋」がある、そんな当たり前の風景を夢見て、お客様においしい料理を、低価格で提供し、ハッピーな一日を過ごしていただく、そして、このことを通じて、会社の発展、従業員の幸せと社会への貢献を実現します。

    という経営ビジョンや、

    ハイデイ日高は、働く社員の幸せを第一の目的とし、 『食』を通じてお客様に満足して頂き、 地域社会に必要とされる店づくりを目指します。

    という営業方針から、CS、ES、SSを重視する企業体制であることが分かります。

    ちなみに日高屋を運営する株式会社ハイデイ日高の名前は、Hi-Day=日高屋で食事をして、気分が高揚(High)した一日(Day)を送っていただきたい、そのためにお客様が満足するサービスを社員が一丸となって提供しようという思い、日高=創業者の神田正会長の出身地である埼玉県日高市に由来しているのだそう。社名からもお客様と地域を愛する企業であることが分かりますね。

    エンゲージメントを高める会長の存在

    日高屋の一番の魅力は、神田会長にあるのではないかと思います。一代で一大チェーンをつくり上げた彼の座右の銘は「感謝」。「やっぱり従業員。この人たちにどんなに感謝したってしきれない」「15歳で社会に出て、奇跡みたいなもの。本当に運がいい。感謝しかない。やっぱり人が全て」と溢れんばかりの感謝の気持ちを表現。

    「会長の夢は?」と聞かれれば「苦楽を共にした社員の幸せ」と即座に応えるほど。「こんな人のもとで働きたい」と本気で思わせる、非常に謙虚で従業員を思いやるその人柄が、神田会長の経営手法にそのまま反映されています。

    例えば日高屋は、社員はもちろんのこと、“フレンド社員”と呼ばれるアルバイト・パートも大切にしています。彼らに年2回ボーナスを支給したり、「フレンド社員感謝の集い」を年に数回開催して、神田会長が自ら彼らに感謝の気持ちを伝えているのだとか。これは、「パートさんの場合20年勤めていても、『ありがとう』も言えずにいなくなることもある。あれを見て人間として耐えられなくなった。慰労会をやると話ができるし、感謝を表したい」という会長の思いがあってのこと。

    さらに神田会長は、60歳以上の従業員が身体に負担をかけず働けるようにと立ち飲み居酒屋「焼鳥日高」を出店。こうして従業員を大切に思う気持ちが彼らに届いている証拠を、日高屋の離職率に見ることができます。飲食サービス・宿泊業の離職率が30.4%なのですが、日高屋は11.1%。圧倒的に低いですね。

    これは従業員を大切にするビジョンやミッションで共感を、フレンド社員へのボーナスや感謝会などの優れた従業員体験で愛着を獲得したことが、従業員エンゲージメント強化につながったという良い例ではないでしょうか。(下記「従業員エンゲージメントフロー」参照)

    従業員エンゲージメントフロー

    参考:
    http://hidakaya.hiday.co.jp/co/co_idea.html
    http://toyokeizai.net/articles/-/72706
    http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20140925.html

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