2015.07.30
従業員エンゲージメント
「無印良品」がV字回復できたのは、挨拶や5Sなどの基本行動のおかげ?
日々どうやったら現場力が高まるのか、売上が伸びるのか、と日々試行錯誤されている店舗・企業のマネジメント担当の方も多いのではないでしょうか。今話題の経営手法を取り入れてみたり、流行りのシステムを導入したりと試せることは多くあると思いますが、砂上の楼閣とならないよう、次の事例を参考に、挨拶や5Sなどの基本の徹底からはじめてみてはいかがでしょうか。
無印良品が奇跡のV字回復を遂げられたのは「挨拶」のおかげ?!
無印良品を運営する良品計画の前会長、松井忠三氏が社長に就任した2001年、良品計画の業績は38億円の赤字、株価も約40,000円から約2,000円へ暴落。あるアナリストは「小売が一度失敗した後に復活したことはない」と言い、誰もが「無印良品は終わった」と思ったそう。
ところがそれから6年後、会社の売上を6年で1.5倍に、利益は72億円になるという、V字回復を成し遂げました。松井氏がこのV字回復を達成するのに行ったことに、リストラ策とともに業務の徹底的な仕組み化がありましたが、社内改革の一環としてまず始めたのが挨拶当番だったのだとか。松井氏は
社風が違う他社のマニュアルをまねて作っても、当社の現場には定着させられませんでした。働く人たちの意識や考え方、要するに「社風」を変えないと、優れたマニュアルだけを導入しても組織は変わりませんから。
そこで始めたのが「朝の挨拶当番」です。社風を変えるには、まずは挨拶から変えることにしました。朝8時から会社の1階玄関で、出社してくる社員に挨拶を始め、私自身、会長になってからも月に1回はやっていました。
と語っていましたが、これは目指すべき「上司の背中の見せ方」だと思います。企業のトップが基本中の基本である挨拶の大切さを説き、先頭に立って体現する。無印良品の社員はそんな松井氏の背中を見て信頼し、尊敬し、実践しようとしたのではないでしょうか。さらには、
続けていると、社員たちにも「朝から挨拶すると気持ちいい」という感覚が生まれてきます。すると、社内で取引先の方々と出くわしても、自発的に挨拶するようになっていきました。
という松井氏の言葉にもあるように、社員が自らその効果に気づいたことが一番大きいのではと思います。自分で納得することが、一番継続につながりやすいからです。
始めた当初は「小学生みたいなことを始めたぞ」、「なんだか堅苦しいな」と抵抗する人もいたそう。でも挨拶をするだけで気持ちよく一日を始められる、良いコミュニケーションにつながる、円滑に仕事を進められるなどの効果が実感できればそれが習慣として定着しますよね。松井氏の挨拶に対する考え方は
挨拶はコミュニケーションの基本で、それができない組織は、何をやってもダメですからね。
というもの。それまでできていなかった挨拶を挨拶を組織の“クセ”として定着させたことが、社風改革とV字回復につながったようです。
単なる「職場の美化」ではなく、経営改善につながる5S
最近多くの企業が取り入れている“5S”。5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」のローマ字表記の頭文字のSを取ったものです。5Sは整理整頓や清掃など、どこの企業でも行われているものとは違い、「経営管理手法」という位置づけにあります。徹底して行うために、時間・ノウハウ・労力がかかるからです。
私もある企業で5Sの導入を経験したことがあります。最初は前述の無印良品の「朝の挨拶当番」のように、「面倒くさい」「子供じゃあるまいし」など抵抗する声が上がりました。でもこちらの企業では各課に5S担当が付き、週に一回担当者の集まる5S会議が開かれ、月に一度の全体チェックが入り、定期的にデスクまわり用クリーナーなどの掃除用グッズが各種配布されるなどの徹底ぶりでした。そうして続けていくうちにそれまでお世辞にもキレイとは言えなかったフロア全体がどんどんきれいになっていきました。
文化として定着したことで、5Sという仕組みが機能するようになり、結果生産性の向上と残業削減につながりました。風水でもよく、机上はもちろん、デスク周りや足元、引き出しの中も整理整頓することが金運と仕事運をあげるといいますが、まさにその通りだと思いました。
挨拶や5Sは「できて当たり前のことだから」とあまり重要視されることのない基本行動かもしれません。でも本当にできているのだろうかと省みるところからはじめ、徹底的な改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。それが根付くことで社風が育まれ、企業や店舗の強い競争力のもとにもなるはずです。
★こちらもあわせてどうぞ→「社員・スタッフのモチベーションアップや業績向上に、元気な朝礼が効く?!」
参考:
http://www.navigate-inc.co.jp/5s/5s_purpose/001508.html
http://toyokeizai.net/articles/-/72441
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