2021.05.20
事例
ペルソナとCJMの策定と参加社員さまの感想|CXコンサルティングプログラムの裏側(2)
株式会社トータルエンゲージメントグループ(以下TEG)が提供している「CXコンサルティングプログラム」のメイキングチームの久保です。
前回の記事では、2社合同で始まったCXコンサルティングプログラムの顔合わせの様子やTEGのプロジェクトの特徴を紹介しました。
今回のプロジェクトは、対面で展開していくはずだったのですが、コロナ禍の中での開催ということで急遽ZOOMを活用したオンラインで進行していくことになりました。
これまでは対面で開催してきたプログラムだったので、運営側はどうなるか内心ドキドキしていました。
しかし、結果的にはオンラインの参加になったことによって、ひとつのドキュメントを共有しながら関係者みんなで編集できたり、2社の合同で参加メンバーが増えても問題なく進行できたりと、シナジーを感じることができる結果となりました。
本記事では、セカンドフェーズとなる「ペルソナ・CJM(カスタマージャーニーマップ)策定」の様子や参加者の感想をお届けします。
目次
ペルソナやCJMを策定した参加者の感想
オンラインでの開催だったため、ペルソナやCJM策定をZOOMとGoogleスプレッドシートを使用して行いました。(通常は対面でホワイトボードと付箋紙を使用します)
各社の参加社員さんにペルソナやCJMを策定した感想をお聞きしました。コンサルタントの吉澤からも総評をコメントしてもらいました。
設定したペルソナは、実務でも活用できそうだと感じた
ベビー用品のセレクトECを運営しているグランドールインターナショナルの山本さんに、感想をお聞きしました。山本さんは直販事業部に所属している新卒1年目(※2021年1月当時)の社員さんです。
山本さん:
ペルソナを作成する際、CX抽出シートに具体的なエピソードを埋めていきましたが、ここまで具体的に考えていくのかと驚きました。
具体的に「ECのこのページが見づらい」などのアイデアを出していくことで、自分が潜在的に感じていた課題が出てくるのを感じました。
私は、商品企画やECサイトの更新やWebページを作成する業務をしていますが、今回ペルソナとして設定した「吉田彩」さんを、通常の業務でも活用できそうです。
当社はECのみで販売をしているため、普段なかなかお客様と対面で接する機会がないのですが、ペルソナを細かく設定したことで仕事の発想も広がるのではないかと思います。
また、自社の課題はすぐに思いつくのですが、強みをなかなか挙げることができない自分にも気づきました。結果的に、コンサルタントの方にアドバイスをもらうことで、良い形で自社の強みも出すことができたと思っています。
一緒に参加していたリグナの社員さんたちが、自分たちの強みについてしっかりと意見されていたのが印象的でした。普段から、自分たちの強みを認識して自信をもって業務に取り組まれているのだなと感じました。
さまざまな顧客との接点を客観的に整理し、優先課題を俯瞰で考えられた
家具のセレクトショップを実店舗とECで展開している株式会社リグナの家具・インテリア販売事業部の部長である村野さんにお聞きしました。
村野さん:
弊社は顧客登録が完全ではなく、顧客データの抽出が難しい状況にあります。
そのため、ロイヤルカスタマーを明確に把握できず、いわゆるお客様の見える化ができていない状態でした。
そのため、第二創業期を迎えて、ペルソナについては常に議論していましたが、明確なペルソナを定めきれていませんでした。
今回は、店舗に来店してくる「やまけん」さんというペルソナを抽出。現場で接客をしているスタッフや僕自身の経験や所感からイメージしていきました。
CX抽出シートを作成していく中でも、さまざまな気づきがありました。
元々、ECサイトを見てから店舗に来店するお客様は多いという認識はしていましたが、それ以外にもSNSや家具を提供しているTVドラマなど、さまざまなタッチポイントがあると実感。
「リグナは、お客様からこんな風に見られているかもしれない」と客観的に整理でき、優先的に解決すべき課題はどこだろうと、俯瞰で考えることができました。
今後のリレーション調査で、どんな結果が出るか楽しみにしています。リグナのファンの方はどのくらいいて、どこに魅力を感じてくれているのか、リアルな言葉で知りたいです。
また、グランドールさんと合同でのワークショップということで、さまざまな気づきがあちました。
当社と同様に物販の会社さんですが、ベビー用品ということでお客様の商品選びの視点がセンシティブです。その部分に対して、配慮や気配りをされている印象がありました。
顧客体験を考えるときにも、「ものが届くのかなぁ。不安だな」など、お客さんが使いそうな言葉を使用されていたのが面白かったです。自分事にするためには言葉の力もあるなと感じました。
リサーチチーム シニアアナリスト 吉澤
両社共に、ワクワクしながら顧客体験を抽出をしていたことが印象的でした。日常からお客さまのことを意識していらっしゃるのだと感じます。
顧客接点を洗い出すフェーズでは、参加者さまが興味をもって、ワクワク取り組んでいただけることがとても重要です。
初めてのリモート開催でしたが、両社ともECをされていることもありリモートリテラシーが高く、スムーズに柔軟に取り組んでいただけました。また、スプレッドシートを利用することで、情報の整理がしやすく、ワークやその後の情報整理もスピーディーに進められました。
CJM(カスタマージャーニーマップ)とペルソナ設定がなぜ必要なのか
本プログラムでは、顧客にアンケートを行い、企業と顧客との接点で顧客がどんな顧客体験をしているかを知ります。
そして、アンケートの設問を作成するためには、CJM(カスタマージャーニーマップ)を知る必要があります。
CJMとは、顧客とサービスやブランドとの接点や、そのときの顧客の体験や感情をあらわしたもの。以下のような情報を時系列で整理していきます。
・顧客がどこで事業やブランドや商品に出会うか
・商品の購入、使用、継続使用などのフェーズで、どのような思考やコミュニケーションに基づいて、どのような行動をするか
・購入商品を軸に、購入後にどのようなコミュニケーションを行うか
そして、CJMを作成するには、顧客と同じ視点に立って、購買行動をシミュレーションする必要があります。そのために作成するのがペルソナ(顧客になりきるための代表的な顧客像)です。
ペルソナは、参加者の実体験などを話し合うことで生み出していきます。
CX抽出シートを用いて、ペルソナやCJMを導くのがTEG独自の手法
CXやマーケティングの世界において、ペルソナはよく登場します。しかし、ペルソナの策定は非常に難しく、使用目的によっても作り方が異なります。
ペルソナの例が提示されることは多いですが、どのように思索してペルソナを組み立てたらよいかを、体系立てて説明している資料は少なく、あったとしても実用的ではないことが多いです。
そこで、TEG独自のメソッドとして開発したのが、ペルソナの設定をやや緩やかにしながらも、顧客体験を抽出し整理できる「CX抽出シート」。
CX抽出シートは、以下のような手順で進めていきます。
参加者
想像できる限りの顧客との接点と、顧客体験を洗い出し、順序だてる
コンサルタント
上記の情報に対して、情報を大分類・中分類・小分類へとカテゴリー分けし、情報の粒度を整理する
こうした分類は、的確にフォーカスされた設問を策定するために重要な作業です。
分類できていると、用意した設問がどのレイヤーに位置するかが明確で、設問を用意した意図をチームや社内で共有しやすい、というメリットもあります。
次の記事では、プログラムのクライマックスである、「リレーション調査によるKDF抽出」について紹介します。
顧客体験(CX)、NPSに
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