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    2018.02.06 ロイヤルティ
    ブランド運営の難しさ ~変える部分と変えてはならない部分

    「ブランド」も長年やり続けていると、少しずつ商品のデザインや扱う品目が変わってきます。世の中のトレンドに応じて毎シーズン変えすぎると固定ファンができません。しかし、長期間変えなさ過ぎても新規ファンが獲得できないのでビジネス規模としては縮小してしまいます。

    ルイ・ヴィトンやグッチの経営不振からの脱却事例

    ラグジュアリーブランドと称され、世界のセレブや富裕層に愛用されているルイ・ヴィトンやグッチも不振にあえいでいた時期がありました。ルイ・ヴィトンはもともと旅行鞄ブランド、グッチは馬具ブランドでした。ところが創業から長い月日が経つと、デザインもイメージも古臭くなり、富裕な老人向けのブランドというイメージになってしまい、経営的に厳しい状況に陥りました。

    ルイ・ヴィトンもグッチも90年代に有名デザイナーや有名ファッションプロデューサーを起用することで、それまでの伝統的な商品とは異なった先端的なデザインの商品を市場に提案することで、最先端ファッションブランドへと変貌しました。もちろん伝統的な商品は「定番」として継続していますが、世間の耳目を集めるのはシーズンごとに発表される斬新なデザインの商品です。

    この手法はこの2ブランドに限らず、いわゆる全ラグジュアリーブランドに共通する手法となりました。

    もちろん、中には「昔のヴィトンやグッチの方がよかった」というファンもいますが、だからといって、変化しないままに経営が傾いていった方がよかったのでしょうか? これはなかなか難しい問題です。どちらが正解でどちらが不正解ということは決められません。しかし、「拡大再生産」という資本主義ビジネスからいうと、変化して売り上げ規模を拡大したことは正解だったといえます。

     

    「鎌倉シャツ」のブランド変化の例

    さて、当方が馴染みのないラグジュアリーブランドについて論ずるのはボロが出るだけですので、もう少し、身近な例で「ブランドの変化」について考えてみたいと思います。例えば鎌倉シャツです。

    当初は4900円という手の届きやすい価格で高品質のシャツということが売りのブランドでした。扱う商品はほぼ「シャツ」だけに特化したことも小資本からのスタートということでは賢明な選択だったといえます。さらにいえば、シャツというアイテムは比較的トレンドの変化に左右されにくく、小資本のベンチャー企業としては、トータルアイテムを展開するブランドよりもずっと運営しやすいという性質もありました。

    メーカーズシャツ鎌倉が「鎌倉シャツ」を展開するのは、非常に理にかなっており、さらにいえば、超低価格ではないにしろ、欧米からのインポートブランドや国内の高級ブランドと比べると4900円という価格は価格競争力もありました。

    このため、市場から評価され店舗数を増やし、ついにはニューヨークにまで出店することができました。売り上げ規模が何百億円もあるわけではありませんが「衣料品不況」といわれる中ではまずまずの成功だといえ、存在感も発揮するようになりました。

    ところが、規模が大きくなると、「新機軸」が求められることになり、鎌倉シャツはアイテムの型数を近年にわかに増やしています。シャツだけではなくネクタイ、セーター、コート、ジャケットという具合です。また、消費増税の影響もあって、価格もシャツが1枚6000円くらいにまで値上がりしています。当初の「1万円でシャツが2枚買える」というコンセプトとは大きくブレはじめ、手ごろな価格とは言えなくなりつつあります。

    もちろん、ビジネスとはできるだけ高く売って利益を極大化しなくてはなりませんから、値上げ自体は必ずしも悪だというわけではありませんが、従来の顧客層は徐々に離れることになります。それをよしとするのかどうかは経営者の判断のみに拠るところです。

    ブレない「東京シャツ」

    一方、メディア的にはあまり注目もされませんし、某クリーニング店からも商品の評価は低いですが東京シャツのショップはスタンスやプライスがブレません。これはこれでスゴイことではないかと最近思うようになってきました。シャツは中心価格が3900円、ネクタイは税込み1000円から、というプライスをかたくなに守っています。取り扱いアイテムもシャツとネクタイが中心でセーターやベストが何型か差し込まれる程度です。取り扱いアイテムがこれ以上増える気配がありません。

    知り合いの某クリーニング店によると、シャツの襟や袖に使われている芯地の品質があまり良くないということですが、3900円のシャツなら2年くらいで捨てても惜しくないでしょうから、物作りに対しての割り切った姿勢は評価されるべきとも言えます。

    むしろ、東京シャツのブレないところが消費者にとっては安心感がありますし、顧客も利用しやすいといえます。出張や破損で急遽必要になったからシャツとネクタイを安値で補給したいという人には非常に利用しやすい店だといえます。おまけに郊外型ショッピングセンターにもファッションビルにも多数出店しているので、仕事先やら出先で店舗を見つけることも難しくありません。

    「変わる部分」と「変えてはいけない部分」がブランド作り

    ブランド作り・ブランディングとは流行りの言葉ではありますが、鎌倉シャツも東京シャツも「ブランディング」という同じ作業を行っているのですが、そのやり方は真逆です。もちろん、鎌倉シャツと東京シャツの顧客層の違いはありますが、高価格化・高付加価値化のために当初の姿から大きく変わってしまった鎌倉シャツと、当初の姿勢からほとんど変わらない東京シャツ。現時点ではどちらが正解かはわかりませんが、個人的には鎌倉シャツの先行きに懸念を感じてしまいます。

    企業やブランドを長年運営するとどうしても「変わる部分」と「変えてはいけない部分」が出てきてしまいます。そこをどう対処するのかは、各経営者にとっては頭の痛い問題といえます。経営者の主観も大事ですが、第三者としての客観的な目も必要になります。答えの出ない問題ですが、鎌倉シャツと東京シャツの今後を見ることで、参考にすることはできるのかもしれませんね。

    SHAR

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