2025.04.19
体験価値
【コラム】牛丼屋さんの「先払い」と「後払い」を、体験価値で考えてみた
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最近、某牛丼チェーンに立ち寄ったときのこと。
注文時にその場で決済を済ませる「先払い」方式が増えています。
私が好きな牛丼屋さんは、着席しオーダーをして、食べ終えたあと、「伝票を持ってレジで後払い」スタイルに、ふと違和感を覚えました。
さて、この“先払いと後払い”の違い、「効率の問題」だと思っていませんか?
実はこのちょっとした違いに、顧客体験(CX)を大きく左右するヒントが詰まっています。
目次
後払いが生む「気まずさ」と「行動の制約」、しかし「見えない価値が」
まず、昔ながらの「後払い」スタイル。
顧客は、食べ終えてから伝票を持ち、レジに並び、順番を待って精算します。
この流れ、実は体験上こんな感情を生みやすくなっています。
- 「昼休みの時間がギリギリで焦る」
- 「レジが混んでてイライラする」
- 「“急いで出ないと”という無言のプレッシャー」
- 「食べ終わってもすぐ立ち上がれない不自由さ」
つまり、“食後の余韻”や“満足感”を曇らせる小さなストレスが残りやすいのです。
しかし、店内で忙しい中で、適切で無駄がなく、そして元気なオペレーションをみていると、自分も元気をもらっている気になります。
これが、「なんとなくまた来たくなる」という印象につながることもあります。
先払いがもたらす「自由」と「安心感」、しかし「失う愛着」
一方、最近の牛丼チェーンやカフェで主流になりつつあるのが「先払い」方式。
食券機やタブレット注文、モバイルオーダーなどで、注文時にすでに支払いを完了するスタイルです。
ここで得られる体験価値は、明確です。
- 「食べ終えたら、すぐ出ていいという気軽さ」
- 「会計の手間がなく、時間を計算しやすい」
- 「“もう済んだ”という安心感」
- 「財布を出す面倒がないシームレスさ」
特に“時間を効率的に使いたい”現代人にとって、この“気兼ねのなさ”や“テンポのよさ”が、リピートのきっかけになる体験なのです。
しかし、ブランドや店舗への愛着を感じさせるものは、提供している商品のみになるため、非常に弱い繋がりになりかねません。このような危機感を持っていることは理解していたほうが良いでしょう。
どちらが正解?──「誰にとっての価値か」を考える
ここで大事なのは、どちらが正解かではなく、「誰にとっての、どんな価値を優先したいか?」という問いです。
たとえば、
- 高齢者や地域密着型の小さな定食屋さんでは「人との会話を含めた後払い」が居心地の良さに
- 若年層中心の都市型店舗では「サッと食べて出たい人向けの先払い」が時代ニーズにフィット
つまり、“体験価値”は顧客の文脈の中にある。
「払うタイミング」という単なるフローの話に見えて、実は顧客との関係性をどう築きたいかという企業の意思が出るポイントなんです。
まとめ:「払う」を超えた“体験のデザイン”を
結局、「どこで支払うか」ではなく、「どう感じさせたいか」が体験価値を決めます。
だから、レジの位置も、店員とのやりとりも、UIも、すべてが“CX設計”の一部。
✅ 支払いにストレスがあるか?
✅ 決済が顧客にとって“終わった感”を与えているか?
✅ その体験が、次の来店を後押ししているか?
「また行きたい」は、味や価格だけじゃなく、“気持ちよく完了できたか”という最後の体験がカギになる。
牛丼屋の「先払い vs 後払い」は、私たちに体験価値の奥深さを改めて教えてくれます。
✍️【池田@トータル・エンゲージメント・グループ】
CX・EXの体験設計を通じて、「なんか好き」と言われる会社をもっと増やしたい。
いつかは「無人店舗における体験価値の落とし穴」について書く予定です。フォローもぜひ!
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