2014.10.20
NPS
1人ひとりが課題を認識すると、研修の効果が高まる
こんにちは、トータル・エンゲージメント・グループの中谷健一です。
?」「停滞アパレル企業の強みと弱みを見える化!NPS調査は顧客視点を課題抽出に活用する」と2本の記事を通じて、売上が低迷する小売店における研修導入の注意点や調査の重要性についてご紹介してきました。
今回は、引き続き、売上低迷の打開策に研修を検討していたメンズアパレルの事例をもとに、NPS調査をどのように研修に展開してゆくのかをご紹介したいと思います。
調査によって「入店直後の挨拶とお声掛け、不安にさせないお買物環境の整備」がもっとも重要な取組み課題であることがわかりました。ではこの課題をクリアするための研修とはどんな内容になるでしょう? 結局、挨拶の練習を徹底的にやることになるのでしょうか?
弊社の研修では「調査結果から課題を見つける」ワークショップを必ず冒頭に置きます。調査結果から課題を導き出すまでの
プロセスに参加してもらうのです。
「調査したら、うちの店の課題は入店後の挨拶だと判明したので、みんな、挨拶をがんばりましょう」と言われても、まるで他人事のように感じられます。
しかし、「調査の結果からなにがわかりましたか?」と考えるプロセスから一緒に走り始めれば「挨拶をするのとしないのでは、お客様の態度はこんなに変わるんだ!」と自分ごとの課題になります。結果「ぜったい挨拶しよう!」となります。ここが非常に重要なポイントです。
こうした気付きを生み出すために、調査結果を教材に加工して活用しています。お客様の入店前から入店直後、店内回遊、商品説明、商品受け取りまでの設問項目を、ポジティブな反応はピンク、ネガティブな反応はブルーと色分けして表示し、結果的にそのお客様がNPS設問に何点の評価をつけたかがわかるようにしています。
「入店時に挨拶があれば、途中で少しくらいネガティブな体験があれば、7点以上のスコアになるようだ」とか「歓迎感を感じていないお客様はほかのすべての項目もシビアな評価になる」といった発見から、課題を見つけ出すことになります。
与えられた研修では、得られないもの
教材化された調査結果を眺めながら、研修参加者の頭のなかには接客シーンが思い出されることでしょう。そしてお客様は心の中で、こんなふうに感じていたのかと知って、うれしくなったり、まずいと思ったりしたにちがいありません。こうしたプロセスを通じてお客様の心に共感することが大切なのです。
この共感がないまま「お客様に心のこもった挨拶をしよう」と指示されても長続きしません。
結果的に「挨拶のしかたをもう一度見直そう」という研修をするとしても、お客様の声に心を寄せて導き出されたものと、突然講師に言われるのとでは天と地ほどの差があります。
研修では取組み課題を参加者によってスローガンにします。このケースでは「気軽に安心して入店してもらい、お買い物ができる環境づくり」という言葉にしました。
研修が、大きなうねりになってゆく
このクライアント企業との取組みでは、その後、スタッフの顔つきが変わり、自ら積極的に競合店舗の調査を行なうようになったり、スタッフの意識改革が進んでいます。売上が伸び始めた店舗もあり、変化の兆しが見えてきています。
「こんな本質的な課題に肉迫できた研修ははじめてだ」
という感想もいただきました。
こうした取組みが売上数字を変えるほどの大きなうねりとなるためには、数値管理による継続、成功した体験の社内共有、そして経営トップのコミットメントが大切です。1回の研修、あるいは1シリーズの研修が変えられるのは、正直、ほんの一握りです。しかし、参加者が自分ごととして取組めば、その思いは伝播してゆきます。最初は小さな成功の輪でも、輪と輪がつながり出すと流れとなり、やがて企業全体を動かすうねりに成長して行きます。
NPS調査がすぐれているのは、お客様の本音の満足度をベースにしているため、ゴールがぶれないところにあります。羅針盤が正しい方向を向いているからこそ、改善活動が短期的に高い効果を生みます。
お手伝いしながら、「本当によくできた指標だな」と感心するほどです。
御社で予定されている研修は、リアルな課題に正しく向き合っていますか?
研修内容は、参加者を巻込み、会社を変えるダイナミズムを持っていますか?
売上が上がるまでのストーリーを描けそうですか?
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トータルエンゲージメントグループでは、これまで延べ100社以上15,000店舗以上のアパレル・小売流通・飲食宿泊から金融、行政などB2C事業からSaaSやメーカーのようなB2B事業など、様々な業種での支援実績がございます。
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