2015.05.12
エンゲージメント
”小は大を兼ねる”がビジョン?! 株式会社トゥモローランドの「ヒト」「モノ」に対する姿勢から見える成長のヒント
デパートやファッションビルなどで、ビームス(BEAMS)やユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)と並んで、フロアを大きく占有しているセレクトショップが トゥモローランド(TOMORROWLAND)。テイストが似ているビームスやユナイテッドアローズと比べてお値段は少し高めなものの、シンプルなアイテムだけでなく、個性的なアイテムも多く、質が高く品があり、洗練されたアイテムが揃っているのが魅力です。
今日はそんなトゥモローランドを運営する株式会社トゥモローランド(以下トゥモローランド)のビジョンと、同社の企業姿勢をご紹介です。
”小は大を兼ねる”ということを表現したトゥモローランドのビジョン
「大は小を兼ねる」ということわざがあります。「小さいものより大きいものが使い道が幅広い」「小さい物は大きい物の代わりに用いることはできないが、大きい物は小さい物の役目も果たせる」といった意味がありますが、近代建築の三大巨匠と呼ばれるミース・ファン・デル・ローエ 氏が提唱している”Less is more”(少ないほど豊かである)という言葉の意味を考えると、決してそうではないと思わされます。日本の必要最小限に美を表現する文化もまさにこの”Less is more”であると言えますが、”小は大を兼ねる”コト・モノはこの世界に多く存在しています。
トゥモローランドも、”Less is more”に近しい考えを持った次のようなビジョンを掲げています。
Small is possible?規模が大きくなれば当然企業として安定し保守的になって行く。
私たちは、そのことを否定し続けて行きたい。小さな会社でなければ持つことの難しい
安定を否定する勇気と新しいことを始める意欲を忘れたくない。
働くすべての人が何かを表現したいという欲求を持ち
それを実現できる小さな会社であり続けたい。目指すのは、小さな会社
Small is possible私たちが目指す小さな会社には無限の可能性がある。
企業として成長しながらも
小さな会社であり続けることは決して不可能ではない。
私たちは、そう考えています。
「決して大きな会社が小さな会社を兼ねるわけではない」”Small is more”、そんなことを感じさせるビジョンですね。
トゥモローランドのビジョンの背景にある企業姿勢
トゥモローランドは、全て自分たちで物作り~買い付け~販売~店舗表現を手がけることにこだわり、オリジナルブランドショップからセレクトショップ、海外ブランドショップまでを全国に展開しています。
2014年2月期の売上高は413億円、2015年5月現在の店舗数は158と、数字だけを見ると規模の大きい会社であることが分かりますが、トゥモローランドの創業者であり現会長の佐々木啓之氏は、「大きくしようと思ってやってきたわけではない。売れすぎたり、目立ちすぎたりしないよう心がけてきた」と、とても謙虚。あくまで同社のビジョンは“Small is possible”。小さな会社には無限の可能性があるからこそ、一人一人の個性が会社を育て、人を育て、夢を追い続けることができる、それが同社の姿勢です。
大きな会社より小さな会社の方が、起業家精神、創意工夫、実験と冒険、横のつながりなどをより感じることができますが、トゥモローランドのビジョンや佐々木会長のコメントを見ると、同社もこの精神をしっかりと守っている様子。
例えば東日本大震災の後、被災地の縫製工場との取引を絶やすことなく続けたトゥモローランド。それも同社が”命”と表現するほど大切にしているオリジナリティーのある物作りは、工場の支えなしには実現できないということを知っているから。2014年に新しく社長に就任した佐々木裕平氏も「自社工場はないですが、工場さんは運命共同体。真夏でもクーラーなしでやってる生地屋さんもあるんです。うちが90年台後半のバブル崩壊後に厳しかった時期もずっと支えてくれた工場さんに、未だに支えてもらっている。そういった恩は忘れません」というコメント。さらに、社員はもちろん、仕入先の工場や物作りに関係する会社全てに幸せになってほしいと話します。そうして同社は人と人との絆・信頼関係を大切にすることで、新商品開発の提案や改善案が増加し、製品の品質が向上し、結果、売上・利益の拡大や持続的成長につながったのではないでしょうか。
トゥモローランドは他のアパレルメーカーと競争することもなく、「らしさ」を大切に、オリジナル商品の展開やお客様へのサービスの追求に力を入れています。
どこまでも小さな会社のような謙虚さを持つトゥモローランド。謙虚であるということは、決して悪いことではありません。もっと自分を高めたいという向上心につながるからです。満足することなく貪欲に挑戦している、だから成長をしても、チャレンジ精神を忘れず、保守的になることはありません。
企業にとってのビジョン・ミッションは、人にとっての信条と同じです。シンプルでわかりやすいビジョン・ミッション(信条)で活動している企業や人は幸せですよね。見習いたいものです。
参考:
http://www.tomorrowland.co.jp/recruit/company/philosophy/
http://www.senken.co.jp/news/tomorrowland-shachoukoutai/
http://www.fashionsnap.com/inside/interview-tomorrowland-yuheisasaki/index3.php
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この記事へのコメント
真夏にクーラーなしって労働安全衛生基準に反してませんか?
従業員が熱中症になる環境で幸せも何もないと思います。
苦労=美徳という古い考えはやめてください。
指摘、ありがとうございます。おっしゃるとおり、単純に苦労=美徳は古い考えですね。