2020.12.25
NPS
【アメリカ視察レポート】NPSで顧客満足度を向上させるための3つのポイント ~全米No.1のBtoB金融サービス企業の取り組み事例を紹介
トータル・エンゲージメント・グループ コンサルタントの藤谷拓です。
日頃は、顧客満足度や従業員満足度を調査・活用したいお客様への提案を担当しています。2015年6月初旬にNPS(ネット・プロモーター・スコア)を活用したソリューションの世界ナンバーワン企業 Satometrix主催のカンファレンス「Satmetrix, US Net Promoter Conference」に昨年に続き参加し、最新の顧客満足度への取組事例やNPSの活用方法を勉強してきました。
今回はその中から全米ナンバーワンのBtoB金融サービス企業 LPL FinancialのCX(Customer Experience, 顧客体験価値) 最高責任者ガレット・ビーム氏の講演の概要を紹介します。
これから顧客満足度の調査・調査に基づく改善をしていきたい企業の方に、すでに5年以上の取り組みを続けてきたLPL FinancialがシェアしてくれたNPSによる顧客満足度調査を活用して顧客体験価値を向上するためのポイントはぜひ知ってほしい内容です。
LPL Financialについて
日本ではなじみの薄いLPL Financialについてかんたんに紹介します。
- アメリカで19年連続の業界ナンバーワン企業
- 独立ファイナンシャルアドバイザーや金融機関を支援するBtoBサービス
- 顧客は14,000名以上のファイナンシャルアドバイザー
- ファイナンシャルアドバイザーと末端投資家のニーズのマッチングを行っている
投資や保険といった金融サービスは、顧客満足度の向上・サービス力の向上にもっとも力を入れている業界のひとつですね。
5年間のNPS(ネット・プロモーター・スコア)活用の歴史
- 2010~競合比較のNPS調査
- 2011~NPSによる顧客満足度調査 + クローズド・ループ (PDCAサイクルを回し、改善施策を実施・検証すること)
- 2015~トランザクション(売り上げ)への影響を含めたNPSの測定・活用
初期段階では、NPSをもちいて競合他社と比較することで自社のポジショニングや強み・弱みの把握することからスタートし、現在は自社顧客にNPSによる顧客満足度調査をし、その結果から改善施策を実施、改善効果を測定する取り組みをしています。「クローズド・ループ」はNPSでは重要な改善手法でクローズド(小さな)・ループ(改善施策の輪)を繰り返し回すことで、大きな成果をあげていく方法です。
NPSの一番の魅力は「調査結果から改善のアクションが見えてくる」ことですが、改善すべき点がわかっても実際に何かを変えるアクションを実行することは、多くのケースで難しい課題があります。この課題を上手くクリアしていくコツが今回の講演テーマ「3つのポイント」です。
LPL FinancialはNPSの活用を進め、将来的には、NPSの調査結果と実際の売上の関係を把握することを目標にしています。売上を増やすために顧客サービスのどの項目に注目したらよいかが詳細に解明されれば、これまでにない見通しのよい経営や人事マネジメントが可能になるでしょう。
NPSで顧客満足度を向上させるための3つのポイント
- Expand the loop while you close it
小さな閉じた改善ループを大きく広げていくべし
(PDCAが回っていないのに拡張してはダメ) - Don’t keep it so simple
シンプルすぎはダメ、具体的な質問を - Elevate results by thinking small
小さな考えが大きな効果を出す
1. Expand the loop while you close it
小さな閉じた改善ループを大きく広げていくべし
(PDCAが回っていないのに拡張してはダメ)
顧客へのアンケート調査はありふれていますが、あなたの会社ではその結果をどのように活用していますか? 各店舗にアンケートを依頼したのに、結果のフィードバックはせずに本部だけが見ていたり、何ヶ月も後のフィードバックになっていないでしょうか?
調査の活用では、調査の分析結果も大事ですが、改善につながるプロセス 設計が重要です。LPL Financialでは1種類の顧客アンケートの結果から2本の改善ループを回すことでお客様の声(VOC)を最大限活用・改善につなげています。
▼LPL Financialの顧客アンケート活用
→ フロントラインによる個別の顧客の満足向上
【大きなループ】会社全体のカスタマー戦略に活用する
→ マネージメント、経営レベルの全体戦略が良い顧客をよぶ
→ 小さなループと大きなループの相乗効果で顧客満足度がより高まる
2. Don’t keep it so simple
シンプルすぎはダメ、具体的な質問を
NPSによる顧客満足度調査では、顧客とのエンゲージメント・信頼関係をそこなうことなく、サービスをより改善する施策のためのヒントを得ることができます。顧客には提供したサービスや会社についてどう感じたか具体的に質問しましょう。
▼LPL Financialの顧客アンケート項目の例
- NPSの質問 … このサービスをほかの人にすすめますか?
(NPSのこの質問の意味はこちらの記事で詳しく説明しています) - サービスカテゴリ別の満足度
- 今回の担当者の満足度
- 企業全体への印象
・信頼できる企業か?
・親しみやすい企業か?
・あなたのビジネスに貢献する企業か?
3. Elevate results by thinking small
小さな考えが大きな効果を出す
?2で紹介したような構成のアンケートの回答を活用すれば、個人からチームまで各レベルが、顧客をよりサポートし有益な体験を提供できる改善に取り組み、より良い企業文化を作ることができます。顧客の声と社内の改善の取り組みが双方向によい影響をあたえることができるような仕組みづくりが重要です。
▼LPL Financialの調査項目と改善施策の仕組み
- 会社全体への質問
→すばらしいチームの取り組みや対応や結果にもとづいた改善施策を共有する - 個別の担当者の接客についての質問
→各マネージャー・リーダーにフィードバックをする - CX(顧客体験全体)、企業全体の評価
→CXチームが今後の戦略策定に使う
まとめ
NPSで顧客満足度を向上させるための3つのポイント
1. Expand the loop while you close it
? 小さな閉じた改善ループを大きく広げていくべし
?? (PDCAが回っていないのに拡張してはダメ)
2. Don’t keep it so simple
?? シンプルすぎはダメ、具体的な質問を
3. Elevate results by thinking small
? 小さな考えが大きな効果を出す
参考になりましたでしょうか?
私は、「2社のNPS最新成功事例に学ぶ、顧客重視の企業づくりとPDCAサイクル実践のポイント」というテーマで、本記事のLPL Financialの事例のより詳細な解説と、もう1社Direc TVの参考になる成功事例を中心に紹介します。
今回のカンファレンスで強く感じたトレンド、「NPS(調査)」と「CX(顧客体験)」の統合や
顧客との信頼関係の構築が以前よりずっと重要な時代になっている
(下のスライドでは、「92%の顧客が企業広告より家族や友人の口コミを信頼する」という調査結果を紹介しています)
?
ことなどもお伝えできたらと思います。
それでは、セミナーでお会いするのを楽しみにしています!
顧客体験(CX)、NPSに
関するご相談
トータルエンゲージメントグループでは、これまで延べ100社以上15,000店舗以上のアパレル・小売流通・飲食宿泊から金融、行政などB2C事業からSaaSやメーカーのようなB2B事業など、様々な業種での支援実績がございます。
CXにおける改善をツール提供だけでなく、全体の戦略をもとに策定・実施まで一気通貫でサポートいたします。まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください!
メルマガ登録
Total Engagement Groupの最新ニュースや、CX・NPSの最新トレンドを
メールマガジンにて配信しております。ご登録はこちらから!
人気記事
カテゴリー