2017.11.28
企業のビジョンやミッション
【レポート】デルタ航空に学ぶ、顧客の心に残る「顧客体験」と「ブランド」を作る戦略 ~MEDALLIA Experience 17
4月に参加したアメリカのカンファレンス「MEDALLIA Experience 17」で、ぜひお伝えしたい講演の中から、今回はデルタ航空の「顧客中心主義」を取り上げます。
目次
デルタ航空の概要
デルタ航空はアメリカ アトランタ市に本拠を置く航空会社で、アメリカ国内および世界各地に向け、1日に4900便を超えるフライトを運航しています。世界でも6大陸すべてに就航する数少ない航空会社であり、旅客運送数および旅客キロ数で、アメリカン航空・ユナイテッド航空に次ぐ世界第3位の大手航空会社です。
デルタ航空の講演概要
【講演タイトル】
「From Commodity to Customer Experience – Customer-Centricity With an Operational Focus」
(顧客経験や運用を中心とした顧客中心主義へ)
【講演者】
GARETH JOYCE (SVP & President, Airport Customer Service(ACS) & Delta Cargo)
デルタ航空カスタマーサービス責任者のガレス・ジョイスは、メルセデスベンツの幹部をつとめた経験もあるカスタマーサービスの専門家です。今回の講演では、デルタ航空・デルタ航空カーゴに「顧客中心主義」を定着させる変革活動をどのように実践してきたか、健全な戦略・優れた運用力・顧客の期待を上回る努力によって、積極的な顧客経験を生み出していることを説明しました。
長期的な投資に対するデルタ航空の信念
デルタ航空では長期的な投資の方針を決める3つのシンプルなフィロソフィーを持っているそうです。それは、
① 人財=従業員
② 新しい機体やテクノロジー
③ 変革・改革の取り組み
です。
デルタ航空の戦略推進力は従業員を大切にする文化から生まれています。このことは、デルタ航空が従業員満足度、顧客満足度の第三者調査において、多く上位にランキングされていることでも証明されています。
デルタ航空は、「良い人財が良いサービスを生み、良いカスタマーエクスペリエンスを経験した人がまた良い人材に良いフィードバックを送る循環」を大切にしています。
デルタ航空が考える心に残る「ブランド体験」とは?
現在の世界では、1日に5,000便の飛行機が飛んでいるそうです。その中で、心に残る航空会社、次も選ばれる航空会社になるためにはどうすればよいでしょうか?
一日のうちに顧客が接するブランドは多数あります。その中で「想い」「気持ち」が残るブランドだけがまたリピートに繋がります。例えば、ディナー席で印象に残った体験としてデルタ航空の利用が語られるようになることが目標だそうです。
顧客が話題にするのは、「とても嫌な思い」か「とても良い思い」だけです。普通の印象では話題に上がることはありません。デルタ航空は、顧客の心に特別に良い体験が残ることを目指して努力しています。
このような顧客体験の実現には何が必要でしょうか? デルタ航空では「未来のビジョン」を大切にしています。
例えば、「ミネアポリスからアトランタへ新しい家族して初めて受け入れられる犬を飛行機で運ぶ」といったチームが実現したい具体的なビジョンを想定しています。実際にこのビジョンは、アトランタに住むずっと犬を飼いたかった父と、初めてのペットを迎える娘さんの家族に、子犬を運んで届ける機会がやってきたときに実現しました。 常にビジョンを持つことで、このシーンへの準備が十分に出来ていたチームのサービスは、家族から『素敵な思い出をありがとう』と感謝を受け、娘さん=未来の顧客の心に強く残るイベントにすることができました。
デルタ航空では、このように1つ1つの顧客体験作りを積み重ねることを大切にしています。
顧客中心主義戦略の効果測定方法と成果
では、このような顧客体験は本当に売上に貢献しているのでしょうか?
デルタ航空では、ケーススタディから解決をすると、その12か月後には売上が上がることをチェックしているとのことで、講演内では実際の効果測定グラフも紹介されました。
PDCAを実践するポイントとしては、1日1日の売り上げや、1ドルに対しての相関のような、小さく短期的な結果を求めることはせず、12か月後の動向を見ているそうです。
特別に顧客の心に残るカスタマーエクスペリエンスを提供すれば、確実に顧客満足度やリピートとしてフィードバックがあり、よりよいビジネスができることは確実だと、ジョイス氏は自信をもって説明していました。
デルタ航空の顧客の心に残る「顧客体験」と「ブランド」を作る戦略まとめ
本講演では、ビジョン→実行→効果測定→さらなる実行へ…と好循環を作るための貴重な学びがありました。
1. 長期的な投資に人材を重視するフィロソフィーを持ち、実行すること
2. サービスの現場でも、常に「未来のビジョン」を持つこと
3. 1つ1つの良い顧客体験を積み上げること
4. 適切な期間での効果測定を行うこと
いかがだったでしょうか。これらすべてをすぐに実行することは難しいでしょうが、理想的な実践例として貴社に取り入れられる部分があれば参考にしてください。
トータル・エンゲージメント・グループでも、このようなビジョンと顧客を大事にすることで成長を続ける企業への体質改善の支援をしています。興味がある方は、お気軽にご連絡ください!
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