2017.05.30
ロイヤルティ
低価格ブランドとの差別化はファッションアドバイスの強化で可能か?
洋服が売れにくい状況がもう10年以上も続いていますが、その一方で、新規参入者による新形態のファッションビジネスも興っています。メチャカリやエアクローゼットのような洋服レンタルサービスもその一つだといえます。
価格面だけでいうなら、買う枚数にもよりますが、レンタルするよりも低価格ブランドの投げ売り品を買う方が安く済ませることができます。自分は実際に、低価格ブランドの投げ売り品ばかりを買っているので、洋服レンタルサービスの価格的魅力がわかりません。昨今の低価格ブランドはユニクロ、ジーユー、無印良品、ライトオンなどで顕著ですが、商品の見た目が格段に向上しています。とくにユニクロは素材品質も向上しており、生半可なファッションブランドでは商品の見た目・品質ともに太刀打ちできなくなっています。
安くお得な洋服の購入が難しいユーザ層とは?
それらの商品が1000円以下、1000円そこそこにまで値下がりします。色・柄・サイズで気に入った商品が残っていれば、それを買えばかなり低コストで洋服を楽しむことができます。ちなみに、つい先日、無印良品でストレッチのブラックジーンズを買いました。定価3980円(税込み)が1950円に値下がりし、貯まっていた200ポイントを使って最終的には1750円(税込み)で買うことができました。上手く探せばこういう買い方ができます。
しかし、こういう買い方をすることが難しいという声も聞きます。なぜなら、手持ちの洋服をほぼ正確に把握していなければならないからです。
手前味噌ですが、およそ8割以上は手持ちの洋服を記憶しています。売り場で掘り出し物を見つけた際には記憶と照らし合わせて買い足すかどうかの判断を下します。
一方、世の中には手持ちの洋服をさっぱり記憶できずに似たような洋服ばかりを買い足してしまう人もいます。そういう人にとってはピンポイントで商品を探すことは困難だといえます。
服は買うより借りる方が得なのか?
先日、AERAに洋服レンタルの人気の理由を分析した記事が掲載されました。
▼服は買うより借りる方が得なのか? 安さだけじゃない人気の秘密
https://dot.asahi.com/aera/2017022400038.html?page=1
という記事です。
この記事の中で、
「レンタルするのは、ただ安いからというだけではない。長尾二郎さん(38)は昨年4月からスタートしたleeapというメンズのファッションレンタルサービスを利用して服装に対する苦手意識を払拭した。1カ月1万2700円でカジュアルな服装が2コーデ分届き、返却すると次のコーデがレンタルできるという借り放題のコースで、スタイリストとLINEを通して服装への悩み、週末の予定に合う服装は何かなどを相談できる。個人の好みに合わせて、スタイリストが似合う服を選んで送ってくれる仕組みだ。」
という箇所があります。このleeapというのは新しいレンタルサービスでそれほど知名度はありません。実際、この記事で初めて名前を見たくらいです。レンタルサービスは単に洋服を借りるだけではなく、どのサービスもスタイリングの提案やファッションに対する相談ができます。料金体系ではなく、この部分が重宝がられているのでしょう。また、購入するのと違って洋服は溜まりませんから、保管場所に苦労することもありません。
実店舗の接客にファッションの提案・悩み相談が不足
翻って実店舗での洋服販売不振の原因を考えてみましょう。接客態度とか接客姿勢とか、商品企画の内容とか価格設定とか、不振の原因は様々考えられます。しかし、一番の原因はレンタルサービスでは実現できているファッションの提案やファッションの悩み相談という部分が足りないのではないでしょうか。
自分に似合う服装を明確に理解し、手持ちの洋服をほとんど把握しているという人はあまりいません。逆に販売員にはそういう人はかなり多くいます。洋服に対する迷いがないお客はほとんどいません。できれば、洋服についての相談に乗って欲しいと思っている人が多いでしょう。
実際に自分でも何度も販売員に洋服の相談をしてみたことがありますが、忙しいため、中にはあまり熱心に耳を傾けてくれない人もいました。そういうことが何度かあると販売員にはこちらもあまり話しかけなくなります。それの極めつけがユニクロやジーユー、無印良品とほぼ変わらないセルフ購入形式になります。セルフ購入形式になると、通常の専門店や百貨店よりもユニクロやジーユー、無印良品といった低価格ブランドの方が買いやすく売り場が作られています。
そもそもそれらの低価格ブランドの商品が安い理由の一つに、販売員による接客が極力省かれていることが挙げられます。販売員の接客料金をカットしているから商品の価格がその分安いともいえるのです。そしてセルフ購入を前提として売り場を組み立てていますから、お客にとってはセルフ方式という点においては買いやすい売り場ということになります。
一方、百貨店や専門店が接客をおろそかにするということは、低価格ブランドと同じ土俵に自分から降りていくということになります。同じ土俵なら低価格ブランドの方が、価格面でも売り場の作り方も圧倒的に有利です。だから低価格ブランドの方が売れるようになります。それが今の業界の姿といえるのではないでしょうか。
低価格ブランドとの違いを伝えよう
洋服不振といわれながらもユニクロ・ジーユーのファーストリテイリングは売り上げ規模を拡大し続けていますし、一時期不調だった無印良品も復調して成長軌道に乗りました。また、しまむらも増収増益を続けています。洋服全部が売れないのではありません。
百貨店や専門店は、もう一度基本に立ち返って、洋服レンタルサービスが顧客に対して実施しているような「ファッションアドバイス」を再び心掛けてみてはどうでしょうか??低価格ブランドとの違いをわかってもらえるチャンスになるかもしれません。
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