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    2024.10.21 人的資本従業員エンゲージメント
    【コラム】感情労働と顧客体験

    感情労働

    現代のサービス業において、従業員の「感情労働」が顧客体験(Customer Experience, CX)に与える影響は非常に大きいです。感情労働とは、従業員が業務上の期待に応じて自分の感情を管理し、特定の感情表現を求められる労働を指します。ホテルの受付やレストランのサービススタッフ、コールセンターのオペレーター、医療スタッフなど、顧客と直接接触する場面では、従業員の感情表現が顧客の満足度や体験に直結します。

    今回のコラムでは、感情労働の重要性やその影響、さらに顧客体験との相互作用について考えてみます。また、感情労働の課題と、その負担を軽減しながらも顧客体験を向上させるための施策についても言及します。

    感情労働の本質

    感情労働という概念は、アメリカの社会学者アーリー・ホックシールドによって提唱されました。彼女は、従業員が業務の一環として顧客に対して「一定の感情」を表現することが求められる状況を「感情労働」と名付けました。例えば、レストランのスタッフやキャビンアテンダントのように疲れていても笑顔を保ち続けたり、クレーム対応をするコールセンターのスタッフが怒りを抑えて丁寧に話し続けたりすることが該当します。

    このように、感情労働は従業員が自らの感情をコントロールし、企業の期待する感情を表現することを求められるものです。顧客が満足し、良い体験を得るためには、従業員の感情がサービスの一環として重要な役割を果たします。

    感情労働と顧客体験の関係

    顧客体験において、感情労働は顧客の感情に直接影響を与えます。例えば、ホテルの受付スタッフが温かく迎え入れてくれると、顧客は歓迎されていると感じ、宿泊全体の体験がポジティブなものになる可能性が高まります。一方で、冷たい対応や不満げな態度が見受けられた場合、たとえ施設の質が高くても、顧客は満足感を得にくくなります。

    感情労働は、単に表面的なサービスを超え、顧客との感情的なつながりを生み出します。これが特に顕著なのが、高度なサービスが求められる業界です。例えば、高級レストランや医療サービスなど、顧客が期待するサービスの水準が高い場面では、従業員が示す感情表現が体験全体に与える影響は非常に大きいです。

    感情労働の課題

    感情労働には多くの利点がある一方で、従業員にとって大きな負担となることもあります。感情を抑え続けたり、逆に作り上げた感情を長時間維持することは、心理的なストレスを引き起こしやすく、燃え尽き症候群(バーンアウト)の原因にもなります。

    例えば、クレーム対応の多い職場では、従業員は頻繁に怒りや不満に満ちた顧客に対応しなければならず、それに対して感情を抑制しつつ、落ち着いた対応を求められます。このような感情労働の積み重ねは、長期的に見ると従業員のモチベーションや心理的な健康に悪影響を与える可能性があります。

    さらに、感情労働が強く求められる環境では、従業員の離職率が高まる傾向にあります。感情労働に伴うストレスが持続すると、従業員は仕事に対する満足感を失い、結果として職場を去ることになることが多いです。

    感情労働を軽減しつつ顧客体験を向上させるための施策

    感情労働が顧客体験に大きな影響を与える一方で、従業員の負担を軽減し、顧客体験を向上させるためには、以下のような取り組みが必要です。

    1. 従業員のメンタルケアとサポート体制の強化

    従業員の精神的な健康を守るために、定期的なカウンセリングやメンタルヘルスサポートを提供することが有効です。また、感情労働が特に多い部署には、ストレス管理のトレーニングを導入することも有効です。これにより、従業員がストレスを適切に処理し、感情労働を無理なく続けることができる環境を整えます。

    2. チームでの負担分散

    感情労働は個人に負担が集中しやすいですが、チーム内でのサポート体制を強化することで、負担を分散できます。例えば、クレーム対応の担当をローテーションで行うことで、特定の従業員に過度な負荷がかからないようにすることができます。

    3. 顧客への期待値コントロール

    顧客の期待が過度に高まらないよう、サービス内容の説明や対応時間について、事前に明確に伝えることも有効です。顧客との透明性を高めることで、従業員が無理に感情を押し殺して対応しなくても、期待通りの体験を提供できる可能性が高まります。

    4. テクノロジーの活用

    感情労働を軽減するために、テクノロジーを活用して対応の一部を自動化することも考えられます。例えば、AIチャットボットやFAQシステムを導入することで、基本的な質問や問い合わせに自動で対応し、従業員の感情労働を減らすことができます。

    まとめ

    感情労働は、顧客体験を大きく左右する重要な要素であり、従業員の感情が顧客に対してポジティブな体験を提供する原動力となります。しかし、感情労働は従業員にとって心理的な負担となることもあり、その管理とケアが欠かせません。企業は、従業員の感情労働に対するサポート体制を強化し、働きやすい環境を整えることで、顧客体験の質を維持しつつ、従業員の健康とモチベーションを守ることが求められます。これにより、顧客と従業員の双方にとってポジティブな体験が生まれ、企業全体の成功につながるでしょう。

    SHAR

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