2015.11.04
顧客満足度
POPは工夫次第で店舗の武器になる
洋服店が導入をためらうものの一つにPOP(point of purchase)があります。商品のセールスポイントや値段などを書いて棚やラックに貼り付けてある、あの値段や商品名が書かれたPOPのこと。理由は売り場が安っぽく見えたり、ごちゃごちゃしているように見えるからというものが多いです。たしかに赤文字でデカデカと値段が表示してあればちょっとバーゲン会場のように見えてしまいます。また、いたるところにPOPが貼られていれば、確かに見栄えはよくありません。しかし、POPを上手く活用して販売に生かしている業態もありますので、工夫次第で洋服店でも上手く導入できるのではないでしょうか。
ユニクロのPOPはわかりやすいと評価の声も
洋服店でも量販店やGMS(総合スーパー)、ショッピングモールに入店している低価格ブランドは比較的POPを多用する傾向があり、中価格帯から高価格帯のブランドや、百貨店ではあまりPOPを使いたがりません。その理由の一つには低価格ブランドはセルフ販売に近い形態が多いのに対し、中価格帯以上のブランドや百貨店は接客販売を重視しているからです。セルフ販売に近い形態だと販売員はあまり積極的に接客をできないので、どうしても商品の価格や説明を伝える道具が必要となりますが、見た目はあまり良くないので、店内の雰囲気を重視する中価格帯から高価格帯のブランドが嫌うのも理解できます。
しかし、POPをふんだんに使っているユニクロに対して「わかりやすくて良い」という声が少なくないことも事実です。逆に、POPをほとんど使わず、値札すらも見えないように服の裏側に入れ込んでしまう高額ブランドの陳列方法は「わかりにくくて不便」と感じる人も多くいます。たしかに価格が大きくPOPで表示されているユニクロの陳列の方が消費者の利便性は高いといえます。
便宜上、ユニクロより価格帯が上のワールドやオンワード樫山、ビームスなどのブランド群を“中価格帯”、その上の欧米ラグジュアリーブランドを“高価格帯”とここでは呼ぶことにしますが、多数の入店者でごった返すことなく接客に従事できる高価格帯は別として、大型化しながらも、販売員数を増やすことが難しい中価格帯ブランド店は、むしろPOPを活用すべきだと考えます。
中価格帯のブランドでも、“試着できるからPOPなしでも良いじゃないか”という意見もあるかもしれませんが、それはユニクロ、無印良品でも同じことです。また、ユニクロは“パックTシャツがメインなのでPOPが必要なのでは?”という指摘もあるかもしれませんが、POPを活用する目的は、商品に関心を持ってもらったり、試着をしてもらったりするためです。
すでに中価格帯のブランドの多くが失速しているという現状をみると、店頭のディスプレイだけでは来店客の購買意欲の喚起をできていないということが考えられます。そのため、まずはPOPなどを活用して、来店客に商品を手に取ってもらい、試着をしてみようかなと思ってもらえるような情報提供が必要なのです。元来、POPとはそういう役割を果たすもので、このような活用ができると売上に貢献できるかもしれません。
書店に見るPOPの活用法
POPを活用できている業種を考えてみましょう。個人的には書店を思い浮かべます。本というのはどこで買っても商品も価格も同じです。そのため、消費者にはどの書店で買っても同じことと認識されてしまいます。自店で購入してもらうためにはどうすればよいのかという工夫を凝らした結果が、数年前から活用されている店員による手描きPOPの活用です。
個々の店員が自分のお勧めの本に対して手描きPOPを付けています。「徹夜で一気に読み切る面白さ」とか「わくわくドキドキの連続でした」という具合に、個々の書店で工夫を凝らしたPOPを付けています。また書店によってそれぞれお勧めの本が異なります。これによって各消費者はそれぞれの感性に応じて買う書店を選びんでいます。ですから、ときどき意外な本がベストセラーに登場することがあります。商品も値段も同じでもPOPによって売れ行きが異なる実例と言えます。
またケーキ屋でもPOPを上手く活用している店もあります。何種類もあるケーキの特徴をすべてのお客に販売員が説明することは難しい場面があります。販売員数に対して入店客数が明らかに多すぎる場合です。その際は特徴をまとめたPOPがあるとより多くのお客に商品の特徴を伝えることができます。赤文字でデカデカと値段を表示するだけがPOPの役割ではありません。高級店ならシックな色合いのPOPを取り付ければ店内の雰囲気はそれほど損なわれません。
中価格帯ブランドでの成功したPOP活用例はこれまでありません。しかし、これまで通りの売り方で大手アパレルの中価格帯ブランドが失速している現状では、何か新しい取り組みが必要ではないかと考えます。その一案としてPOPの活用を挙げたいと思います。
接客されることが苦手という一般消費者も少なくありません。そういうお客も取り込むのにもPOPは役立つかもしれません。
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