2024.12.16
体験価値顧客体験
【コラム】推し活と顧客体験(CX)熱意を引き出すブランド戦略のヒント
「推し活」という言葉が日常的に使われるようになり、推しを応援する行動が社会的なムーブメントとなっています。この現象は、エンターテインメント業界だけでなく、あらゆる分野の企業にとって示唆に富むものです。推し活の中でファンが推しと接する一連の体験は、顧客体験(CX)の文脈に置き換えることができ、顧客の熱意を引き出し、ロイヤルティを高める戦略の鍵となります。本稿では、「推し活」とCXの共通点を探りながら、企業がどのように顧客の心をつかむ体験をデザインすべきかを考察します。
推し活とCXの共通点:感動と一貫性が生む信頼関係
推し活とは、ファンが「推し」と呼ばれるアイドル、アーティスト、俳優、キャラクターなどを応援する行動を指します。ファンは推しの活動を追いかけ、ライブやイベントに参加し、グッズを購入することで推しを支えます。この行動は、ブランドと顧客の関係にも応用できる重要な要素を含んでいます。
まず注目すべきは、ファンが推しに対して「信頼」と「特別感」を感じている点です。推しの行動や発言が一貫していることでファンは安心感を覚え、「この人を応援したい」という気持ちが強まります。同様に、ブランドも顧客との接点において一貫性を保つことで信頼を築き、顧客が「このブランドを推し続けたい」と思うきっかけを作ることができます。
たとえば、Appleの一貫したデザイン哲学や、スターバックスの心地よい店舗体験は、顧客にとって「推せる」ブランドの典型例です。どのチャネルでも一貫した体験が提供されることで、顧客はブランドに対する信頼を深め、「このブランドなら間違いない」と思うようになります。
熱意を引き出すCXのデザイン:推し活の成功要因から学ぶ
推し活が持つ力の一つは、ファンが「自分もこの推しの一部である」と感じられることです。この「一体感」や「参加感」は、顧客体験を設計する上で重要な要素となります。企業は、顧客が単なる消費者ではなく、ブランドのストーリーの一部として関与できる仕組みを提供することで、顧客の熱意を引き出すことができます。
たとえば、以下のようなアプローチが効果的です:
- 参加型の体験を提供する
推し活では、ファンがライブやイベントに参加し、推しと直接触れ合う機会が設けられています。同じように、ブランドも顧客が参加できる体験を提供することで、一体感を醸成できます。たとえば、ブランドイベント、オンラインコミュニティ、ファンミーティングのような場を作ることで、顧客との絆を深めることができます。
- パーソナライズされた体験
推し活の中で、ファンは「自分だけが知っている推しの一面」や「自分が特別に感じられる瞬間」を求めます。ブランドも、顧客データを活用して一人ひとりに合わせたパーソナライズ体験を提供することで、顧客に「特別感」を与えることが可能です。Netflixが個々の視聴履歴をもとにおすすめ作品を提示する仕組みや、Amazonがパーソナライズされた商品提案を行う仕組みは、顧客体験を深める好例です。
- 期待を超えるサプライズ要素
推しが予想外の行動や新しい一面を見せたとき、ファンは感動し、その推しへの支持を強めます。同様に、ブランドも期待を超えるサービスやプロモーションを提供することで、顧客の心に残る体験を作ることができます。たとえば、誕生日に特別なメッセージを送るキャンペーンや、予期せぬアップグレードサービスを提供することで、顧客との関係が強化されます。
推し活の熱意をビジネスに活かす:ブランドロイヤルティを高める
「推し活」とCXのもう一つの共通点は、長期的な関係構築にフォーカスしている点です。推し活のファンは、単に推しの商品を購入するだけでなく、推しの成長を見守り、その成功を共に喜びます。この長期的な関係は、ブランドが顧客ロイヤルティを築く上で参考にすべきモデルです。
ブランドが顧客にとって「推し」になるためには、単なる商品提供を超えた「価値提供」を目指す必要があります。これには、以下の要素が含まれます:
• ストーリーテリング:ブランドが掲げるミッションやビジョンを明確に伝えることで、顧客に共感を呼びます。たとえば、Patagoniaが環境保護のビジョンを通じて顧客との絆を深めているように、ブランドの背後にあるストーリーが顧客の支持を集めます。
• 継続的なコミュニケーション:推し活では、推しがSNSやライブ配信を通じてファンと継続的に関係を築きます。同様に、ブランドもメールやSNS、カスタマーサポートを活用して顧客との対話を続けることで、信頼関係を維持できます。
• 顧客の声を反映する:推し活では、ファンの声が推しの活動に影響を与えることがしばしばあります。ブランドも顧客からのフィードバックを取り入れ、商品やサービスの改善に役立てることで、顧客の満足度と信頼を向上させることができます。
まとめ
推し活が示すファンと推しの関係は、ブランドと顧客の関係性に通じる重要なヒントを提供しています。顧客がブランドを「推したい」と感じるためには、特別感、一体感、期待を超える体験といった要素が必要です。そして、その実現にはCXを強化し、顧客のニーズに真摯に向き合う戦略が欠かせません。
「推し活」の熱意を参考にしながら、顧客にとって「推し」のような存在となるブランドは、長期的な支持を集め、競争の激しい市場で優位性を築くことができるでしょう。ブランドが顧客と共に成長し、感動を共有することで、単なる消費を超えた深い関係性を作り上げることができるのです。
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