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    2022.12.08 CS調査NPS
    NPSと顧客満足度(CS)との違いを知っていますか?

    「NPSと顧客満足度はどう違う?」「NPSはどんな仕組みなのか?」そんな疑問をお持ちの方も多くいと思いますが、その疑問に、株式会社トータル・エンゲージメント・グループ代表取締役の池田が、NPSと顧客満足度の違いやNPSの仕組みについて説明します。

     

    NPSと顧客満足度(CS)の一番の違い「NPSは将来の購買行動を測ることができる」

    NPSとはネット・プロモーター・スコアの略語で、日本語に訳すと推奨者の正味推奨率のことです。つまり、「顧客があるサービスや製品を周囲に薦める割合がどのくらいなのか」を示す指標です。

    NPSが登場する以前、顧客との関係性を測るのによく用いられていたのは顧客満足度(CS)でした。顧客満足度は、顧客がサービスや製品に満足しているかどうかを調査します。

    NPSと顧客満足度の違いは、購買行動の予測性にあります。

    NPSは、将来、顧客や顧客の知人がサービスや商品を購買するかを測れるのに対して、顧客満足度では測れません。

    顧客満足度調査は、「過去の購買や経験に対する個人としての満足度」を質問します。顧客はよほど不満でない限りは「満足」と回答する傾向があります。たとえリピートしない場合でも満足と答える可能性があるので、将来の購買行動との相関は高くありません。

    一方、NPSで顧客に質問するのは「○○(商品・サービス名)を友人や同僚にすすめる可能性は、どのくらいありますか?」という質問で、「他者への推奨度」です。

    他者への推奨のハードルは非常に高いです。大切な友人に何かを薦める時は、自分が心から好きなもの、同じ体験をして喜んでほしいと思えるものだけを紹介します。

    NPSは評価の影響範囲が自分だけでなく他者にも広がるため、顧客は回答に慎重になります。そのため、よりリアルな顧客のロイヤルティ(サービスや商品に対する信頼や愛着)を測るだけでなく、その行動結果によって売上にも関連してくるのです。

    NPSが注目を集める3つのポイント

    現在、NPSが注目を集めている理由として3つのポイントがあります。

    ・NPSは業績との相関関係が高い

    ・顧客のクチコミの影響力が強くなった

    べての顧客体験がサービス評価範囲になってきた

    これらをひとつずつ見ていきましょう。

    NPSは、業績との相関関係が高い

    NPSと業績は相関関係が高いことで知られています。NPSを考案したベイン・アンド・カンパニーの調査によれば、多くの業界においてNPSの数値がトップの企業は、ほかの同業他社と比べて2倍の成長率を上げています。

    一方、顧客満足度は顧客が「満足」と答えやすい傾向があるため、調査結果がよくても、売上や業績が下がることもあり業績との相関関係は低いです。

     

    顧客のクチコミの影響力が強くなった

    SNSの普及により、個人が気軽にサービスへの評価や不満を表明できるようになりました。

    顧客のクチコミの影響力が強くなったことで、リアルな顧客ロイヤルティを測れるNPSの注目度が高まっているのです。顧客の真意をおさえておかないと知らないところで、低評価のコメントが広まる可能性があります。

    顧客のSNSでの発信をコントロールすることはできないので、常に、顧客の気持ちを考えていく必要がでてきているんですよね。

     

    すべての顧客体験がサービスの評価範囲になってきた

    クレジットカード会社を例にお話しをしましょう。下図のようにクレジット会社と顧客との接点はいくつもあります。

     

    従来、企業が顧客満足度調査をする際、店舗やカスタマーサポートなど部署ごとに調査をしていた企業が多いと思います。

    しかし、顧客にとっては、店舗もカスタマーサポートもひとつの接点に過ぎません。どんなに対応がよい体験があったとしても、ひとつでも印象の悪い体験があればサービス全体に対する評価が下がります。

    つまり、部分最適だけを追求するのではなく、すべての顧客体験がよくなければ、顧客の評価は得られません。

    NPSは一部署で行う調査ではなく、ひとつのサービスや製品全体の顧客体験すべてに対する評価を測ることができます。そこが、NPSが注目されるポイントになってくるのです。

    では、NPSはどのような仕組みになっているのでしょうか。

     

    NPSの仕組み

    NPSの調査では、顧客に以下の質問をします。

    「○○(商品・サービス名)」を友人や同僚にすすめる可能性は、どのくらいありますか?

    絶対に勧めない(0点)~必ず勧める(10点)の11段階で採点してください。

    その点数をつけた理由も教えてください。

    そして、回答の点数によって、顧客を以下の3つに分類します。

     

    ・推奨者

    9~10点をつけた顧客。サービスや製品を利用したことで豊かになったと感じている。購入金額や購入数が多く、リピートの購入、友人や家族などに紹介してくれる可能性が高い。建設的なフィードバックをしてくれる。

    ・中立者

    7~8点をつけた顧客。金額に応じた対価は受け取ったと感じてそれなりに満足しているが、それ以上の評価はしていない。競合にうつりやすい。友人や家族などに紹介してくれる可能性はほとんどない。

    ・批判者

    0~6点をつけた顧客。サービスや製品に満足していないし、むしろ不愉快に思っている。競合に移る可能性が高い。不満や悪口などのネガティブなクチコミを広げる可能性がある。

    これらの3つのセグメントの人数が全体の中で、どのくらいの比率なのかを算出します。そして、以下の計算式でNPSの数値が算出されます。

    NPS = 推奨者の比率(%) – 批判者の比率(%)

    NPSの数値は、批判者しかいないときは「-100」、推奨者しかいない場合は「100」となり、-100~100のどこかに位置します。

    たとえば、推奨者の比率が15%、中立者の比率が50%、批判者の比率が35%のサービスがあった場合、NPSは「-20ポイント(=15ー35)」となります。

    NPSの数値に中立者が反映されないのは、中立者はそこまで満足はしていないので、いつ競合に移ってもおかしくない状況だからです。中立者がいくら多くても企業として成功したとは言えません。

    企業にとっては、9~10点をつける推奨者をいかに増やし、0~6点をつける批判者が出ないようにするかが、サービスや製品の成長や業績に大きく影響を及ぼします。

     

    NPSと顧客満足調査は二者択一ではありません

    さて、NPSと顧客満足度の違いを書いてきましたが、「じゃ、NPS調査を始めて顧客満足度調査はやめよう!」という話をしたいわけではありません。

    NPSは先ほど書いたようなシンプルの設問で数値を出すのですが、数値が出しただけでは、次のアクションにつながりません。

    「○○(商品・サービス名)を友人や同僚にすすめる可能性は、どのくらいありますか?」と聞いたあとに、顧客体験に関する満足度の設問も合わせて聞いていくのが一般的です。

    それによって、顧客体験調査の結果の数値のどこを伸ばせばNPSの数値が上がるのかという相関を取っていくことで、次のアクションにつなげることができるのです。

    調査の結果は、必ず次のアクションにつなげなければいけません。

    そこを念頭に置いて、NPS調査が良いのか、顧客満足度調査が良いのか考えてみてはいかがでしょうか?

    NPSについて、もっと詳しく知りたい方は NPS(ネット・プロモーター・スコア)超入門 をご覧ください。

    SHAR

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