2024.12.22
組織文化
【コラム】忘年会と体験価値:人と企業を繋ぐイベントの再考
忘年会年末の風物詩である忘年会は、単なる飲み会を超え、企業や組織にとって重要なコミュニケーションの場としての役割を果たしてきました。私が新人だった時の30年以上前の忘年会は、通忙しい師走が更に忙しくなるように感じていました。常の仕事以外にお店選びから、出し物(当時は余興もやりました。)の準備、そして席次など、やること満載でした。当時はやらないという選択を、全く思いつきもしませんでした。自分も楽しんでやっていた気がします。
しかし、近年では働き方や価値観の多様化、コロナ禍を経たリモートワークの普及によって、忘年会に対する捉え方が変化しています。そのような中で、忘年会をいかに「体験価値(CX: Customer Experience、EX: Employee Experience)」に基づいて再定義できるかが、企業にとって大きなチャンスとなっていると思います。忘年会を体験価値観点に着目し、その可能性と再構築の方法について考えてみました。
忘年会における体験価値の重要性
忘年会は、単なる年末の恒例行事ではなく、社員同士や上司と部下がリラックスした雰囲気で交流を深める場として機能してきました。このような非公式な場での交流は、組織全体の連帯感やエンゲージメントを高める効果があります。特に、普段接点の少ない部門や役職の異なるメンバーが繋がることで、縦割り組織の壁を越えたコミュニケーションが生まれることもあります。
しかし、一方で「義務感」や「負担感」を感じる社員も少なくありません。「上司の目を気にせず楽しめない」「自分の時間を割きたくない」といった声が増える中、忘年会の目的が曖昧であると、体験価値が下がるだけでなく、逆に社員のモチベーションを損なうリスクもあります。そのため、忘年会を従来の形式にとらわれず、「参加者にどのような価値を提供できるのか」という観点で再設計することが求められています。企画者側も「やらなければいけないこと」ではなく、「参加する人の立場で」考えられることはCX(顧客体験)の考え方と全く同じですので、楽しんで行えればと思います。
体験価値を高める忘年会の設計:CXとEXの視点から
体験価値を高める忘年会は、「顧客体験(CX)」と「従業員体験(EX)」の考え方を取り入れる方法です。忘年会もイベントの一つと捉え、参加者である社員に満足感や価値を感じてもらうための工夫が必要です。以下に、体験価値を高めるための具体的な方法を紹介します。
1. パーソナライズされた体験の提供
社員の多様な価値観やニーズに応えるためには、一律の形式を見直し、選択肢あるといいかもしれません。たとえば、全社員参加型の大規模イベントだけでなく、部門別や小グループ単位での忘年会を並行して実施することで、参加者が自分に合った形式を選べるようにするのは一案です。時間を共有することで、一体感の醸成が出来れば、一つは成功ではないでしょうか。
2. サプライズ要素を取り入れる
忘年会を単なる「お疲れ様会」で終わらせず、社員にとって意外性のある楽しい体験を提供することで、記憶に残るイベントにできます。たとえば、抽選会や社員表彰、新プロジェクトの発表など、参加者がワクワクするような要素を組み込むことで、参加意欲を高めることができます。
3. コミュニケーションを促進する仕掛け
忘年会の最大の目的の一つである「交流」を実現するためには、自由な会話が生まれる仕掛けが必要です。アイスブレイクのゲームや、テーブルごとにテーマを設定したディスカッションタイムを設けることで、自然なコミュニケーションが生まれやすくなります。
4. 感謝の気持ちを伝える場として活用
忘年会は、社員の一年間の努力を労い、感謝の意を示す絶好の場です。経営者や上司から直接感謝の言葉を伝える機会を設けることで、社員のエンゲージメントを向上させることができます。また、社員同士で感謝を伝え合う「感謝タイム」を設けると、全体的な満足度が向上します。これは私個人的には非常に重要だと思っています。
忘年会をCXとEX向上の起点にする
忘年会の体験価値を高めることで、参加者が得る満足感は、翌年以降の業務にもポジティブな影響を与えます。特に、体験価値を向上させた忘年会は、以下のような効果を生み出します:
• 組織文化の強化
参加者が「この会社で働いてよかった」と感じる瞬間を提供することで、帰属意識が高まり、離職率の低下に寄与します。
• 従業員のロイヤルティ向上
一人ひとりが自分の存在が認められていると感じることで、モチベーションやエンゲージメントが向上します。
• 社内外のブランディング
忘年会で得たポジティブな体験は、社員の口コミやSNSを通じて外部に広がり、企業イメージ向上にも繋がります。
まとめ
忘年会は、形式だけにとらわれるのではなく、参加者にどのような体験価値を提供できるかを考えることで、単なる年末行事から「企業の価値観を体現するイベント」へと進化させることができます。CXやEXの視点を取り入れた忘年会の再設計は、従業員満足度を向上させるだけでなく、企業の成長にも寄与する重要な要素です。
これからの忘年会は、「ただ集まって飲むだけ」ではなく、「社員一人ひとりに感動とつながりを届ける場」として再定義されるべきでしょう。感謝の気持ちを軸にした体験価値の高い忘年会が、来年以降の新たな挑戦を支える原動力となるはずです。
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