2018.07.11
エンゲージメント
NIKEの長期的・継続的なエンゲージメント創出活動とは?
過去に何度も社会現象になるほどのスニーカーブームを起こしてきたNIKE。特に通称「エアマックス95」と呼ばれる1995年に発売されたシリーズのブームは相当なものでした。去年からスニーカーブームが再燃し、今年は特にNIKEのスニーカーが男性からも女性からも熱い注目を浴びています。
NIKEと言えば、前回の記事で、顧客エンゲージメントが高いアメリカのブランドランキングにも入り、顧客の期待に応える度合が91%と非常に高かったのが印象的でした。
記事はこちらから→「顧客エンゲージメントが高いアメリカのブランド(企業)ランキング(2014年版)」
1968年に設立され、創業46年目を迎える今年、ファンを熱狂させ、高い売り上げと顧客エンゲージメントを誇る秘訣はどこにあるのでしょう? 今日はそんなNIKEのエンゲージメント創出活動の内容をご紹介したいと思います。
時代と流れと顧客のニーズを汲んだNIKEの変革
多くの大企業が広告代理店にマーケティング企画やPRを外注するのは珍しいことではありません。NIKEも例に漏れず大手の広告代理店にその全てを任せていましたが、ソーシャルメディアマーケケティング活動を全て自社で行う方向にシフトしました。その理由はただ一つ、
「ファンの声を直接聞きたい」
というものでした。ソーシャルメディアはファンの声を直接聞くことができ、その声を戦略にタイムリーに反映させ、効率的にファンのニーズに応えることができるツールです。さらに情報の拡散性が高く、情報を収集するのに優れているとあって、社内にソーシャルメディアチームを設けることにしました。
さらに、これまでテレビコマーシャルや紙媒体などのメディアで、マイケル・ジョーダン、アンドレ・アガシ、タイガー・ウッズなどスポーツ界のスーパースターに加え、デニス・ホッパー、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどエンターテイメント界のスーパースターを起用してきたNIKE。でもその広告費を2010年~2013年の3年間で40パーセント縮小させ、見込客や購入者に個人的なプロモーションを通して商品やサービスを販売するダイレクトマーケティング、インターネット広告、ソーシャルメディアなどへの予算を大幅に増加させました。
NIKEの変革がもたらす顧客エンゲージメントの強化
変革を通して「マスから個へ」とシフトしたNIKE。ソーシャルメディアチームがSNSを通して顧客一人一人の声を大切にしようとする取り組みは、Net PromoterScore(ネットプロモータースコア=NPS®:顧客推奨意向)で「推奨者」とされるファンのみならず、「中立者」「批判者」をファンに変えるよいきっかけとなります。(NPSの詳細は『NPS超入門』をぜひご覧ください)その理由のひとつに、ダイレクトマーケティングを通じたより「パーソナル」なアプローチや、SNSを通じた顧客との「継続的接触」は、自社の存在を常に顧客の心に留め、接触することによって得られる好感度の上昇(認知心理学では「親近性効果」と呼ばれています)につながり、長期的な関係を築く基盤となることが挙げられます。
NIKEが目指すのは、お客様と直接やり取りをすることで、お客様の声を聞き、密接な関係を育み、そのニーズを製品やサービス、キャンペーンに反映させること。そのプロセスを大切にすることで、お客様の心からの共感と愛着を呼び起こし、きっと下記のようなエンゲージメント行動ももたらしてくれるはずです。
- 製品・サービスを喜んで購入する(勧められたからだけではなくて)
- 製品・サービスが競合よりも価格が高くても、優先的に選択してくれる
- 製品・サービスを繰り返し購入する
- 製品・サービスを友人・知人などに積極的に勧める
- 製品・サービスについての感想や意見をブログやフェイスブック、ツイッターなどに投稿する
リーボックやテスコなどの大企業も、顧客エンゲージメントの強化を目指してNIKEと似たような戦略をとりはじめたようですが、やはり時代は「マスから個へ」とシフトしているようです。
顧客体験(CX)、NPSに
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