2015.07.27
エンゲージメント
【事例に学ぶ】パート定着・戦力化のポイント 女性営業パートが半期で成約利益額2300万円を生み出す理由
こんにちは、働きかた研究所 平田未緒と申します。私はこれまで、パート・アルバイトさんが活躍している企業を、約20年にわたり取材し続けてきました。その経験から、パート・アルバイトさんが活躍している企業には、共通点があることがわかりました。企業側(社長・店長・正社員)と、働く側(パート・アルバイトさん)が、相思相愛の関係にあることです。
相思相愛とは、企業側が「この人に働いてほしい」「この人に働き続けてほしい」、働く側が「この会社で働きたい」「働き続けたい」と思い合う関係。そう、要はエンゲージメントなんですね。
ということから、この「エンゲージメントブログ」にて、連載を持たせていただいています。テーマは、企業とパート・アルバイトさんとのエンゲージメント、つまり「心のつながり」を作るポイントです。今回は、住宅リフォーム会社の事例から、見てみましょう。
同業他社をしのぐ業績に大きく寄与した営業パート
戸建て住宅やマンションなど、個人宅のリフォームを多く手掛けるミサワホームイング。売上は、2013年度で232億円と、前年比、実に22億円も上昇しています。一方経常利益は5億5000万円で、同3億3000万円高まっているのです。
この躍進に、同社がHA(エイチ・エー)と呼ぶ、主婦を中心とした約180人の女性パートが大きく貢献しています。例えば2013度の下半期、トップHAの成約利益額は、実に2300万円を超えました。
HAの仕事は、個人宅を個別訪問しながらリフォームのニーズを引き出して、実際の受注・施工につなげること。180人中のナンバーワンとはいえ、一人の女性パートが、半期でこれだけの数字をたたき出しているのです。
もちろん、同社の営業成績に、消費税増税前の駆け込み需要が大きく寄与しているのは間違いありません。でも、超追い風な環境にあったのは、同業他社も同じです。各社が営業攻勢をかけるなかで、高い伸びとなった背景には、HAの頑張りがありました。
営業パート「HA(ホームイング・アドバイザー)」の仕事とは
営業本部 営業推進部 部長 高塚瑞穂さん
でも、どうして、主婦パートがこれだけ頑張ってくれるのでしょうか?
この質問を、同社の営業本部で、HAの制度設計に長年携わり、実質的にその力を引き出してきた、営業本部 営業推進部 部長 高塚瑞穂さんに問いかけたところ、こんな回答が返ってきました。
「それなら、ぜひ『HA(エイチ・エー)全体会議』にいらっしゃいませんか? HAの生の声も聞いていただけますし、彼女たちの雰囲気をつかみ、活躍ぶりを直接感じてもらえると思います」
HAとはホームイング・アドバイザーの略称で、主婦を中心とした女性パートが、販売促進業務を担い、地域の個人宅を訪問します。そこで具体的にすることは、同社が発行するリフォーム提案情報誌「ホームイングプレス」を届けたり、インターフォン越しや、時にはお客さまのお宅に上がって話をすること。そうしてお客さまと頻繁にお会いし、お客様との距離を縮めることで、リフォームの見込み情報を掘り起こすのが、彼女たちの役割です。
「正式な見積もりやプランの依頼となれば、当社がリフォーム・エンジニア(RE/アール・イー)と呼ぶ、営業職の担当社員にバトン・タッチします。要するに、HAの仕事は、新規客を開拓し、リピート客をつなぎとめることで、すでに当社の営業活動の一つの基盤となっています」
成績優秀者77名の表彰は、社長自ら檀上で
HA全体会議は、そうしたHA約180人を、一同に集めて行う、年一回の会議です。私は、2014年開催のそのHA全体会議に、参加させていただけることになったのです。
その場に参加して、驚きました。内容が、想像以上に「営業」特化していたからです。
式次第の一番目は、営業成績表彰です。対象は、2013年度の下半期に、自らが携わり稼ぎ出した成約利益額が400万円以上に達した人。檀上で同社の渡邉一広社長が、一人ひとりに、記念品などを直接、手渡していきました。
ちなみにそのときの対象者は77人。うち8人が、成約利益額1000万円以上という成績です。名前は、この成約利益額額が低い方から、順番に呼び上げられます。成約利益額が400万円すれすれの人から、より高いHAへ、76人への手渡しが終了。最後に呼ばれた下半期のトップ、茨城県の営業店に勤務するHAのそれが、実に2300万円超だったのです。
実はそのHAは、昨年もトップ表彰されたといいます。内容は極めて謙虚に、でも、HAの上司ら正社員も含めた200人以上を前にした檀上で、「好成績の理由」堂々とスピーチされていました。終わった瞬間、大拍手。会場をすがすがしい空気が流れました。
「求める役割・成果」を明確に、育成し、認め、称賛する
続く、渡邉社長の講話でも、営業色は薄れません。
まずは冒頭で、「経営ビジョン」や「CS経営指針」が語られます。策定以来毎年同じ内容を、繰り返し説明し続けているといいます。そして、下期の実績報告と、新中期3カ年計画などが、具体的な数字入りで説明されていきます。その、配布資料を見るだけでは、とても「パート対象」とは思えません。
さらにその後、外部講師による講演もありましたが、そこでも営業色は薄れませんでした。具体的なテーマは、「お客様に感謝されて売れる『共感』コミュニケーション術」。仕事に即・役立つ内容です。そのコツやポイントが語られると、メモを取ったり、うなずきながら、真剣に聴く様子が見てとれました。
講演後、ランチ時間帯のアルコール付き懇親会は、会場を移しての立食パーティー。営業本部の本部長から、感謝とエールのスピーチがあり、乾杯。ようやく営業色が消え、日ごろの仲間がテーブルごとに集まって、会場はあっという間に華やかなおしゃべりに包まれましたが・・・
ミサワホームイングの事例から学ぶべきは、パートに対しても「求める役割・成果」を明確に、しっかり伝えていること。そのための教育や情報提供をきちんとしていること。さらに、結果を出した人はしっかり認めて、トップ表彰という形で称賛していることです。
もちろん、全体会議で年に一度行っても効果は薄く、日々のマネジメントが重要なのですが、それについては、また別途ご紹介しますね。
取材・文/株式会社働きかた研究所 代表取締役所長 平田未緒
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