2015.10.23
エンゲージメント
40年黒字経営を続けるサウスウエスト航空の成功の鍵は絆とコミュニケーションにあり?!
従業員との絆が結ばれているから実現できるサウスウエスト航空の高い顧客満足度
欧米にはユニークな経営手法を持った企業が多く存在していますが、サウスウエスト航空もその一つ。「顧客第二主義」「従業員の満足第一主義」というポリシーを掲げ、「いちばん大切なのは従業員だ。あなたが従業員に接する態度は、そのまま従業員が顧客に接する態度になる」という考え方を持っています。また、顧客に満足してもらうための行動を全て従業員に任せることで、お客様に楽しんでいただくための数々のサービス(機長やフライトアテンダントの個性的な機内アナウンスは有名ですね)が生まれ、顧客満足度の向上につなげています。売上もそれに比例して、1973年以来40年以上連続黒字経営を続けています。
特に驚きなのが、アメリカ同時多発テロ事件の年でさえ黒字を達成したということ。他社が大量の人員削減を行う中、サウスウエスト航空は唯一解雇を行わず、さらには赤字さえ出さなかった唯一の航空会社となりました。さらに驚くべきは、当時経営難であったにも関わらず、解雇を行わないとした会社の誠意に社員が応え、自ら減俸を申し出たということでした。
また、お客様に対する判断や行動を全て従業員の裁量に任せているサウスウエスト航空では、もし従業員の判断で挑戦したことが、結果大きな損失を伴うようなものであったとしても、解雇・降格などは行わず、その従業員の信頼を回復することを優先するとしています。
結婚式での誓いの言葉に「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」というものがありますが、サウスウエスト航空とその従業員の間にも、まるで結婚の誓いを立てる二人の間の深い絆のようなものがあると思いませんか?
サウスウエスト航空のソーシャル時代のコミュニケーション
これまで“人財”だけで十分成果を出してきたサウスウエスト航空ですが、「マスから個へ」の時代の流れを汲み、よりお客様を深く理解し、一人ひとりに即したサービスを提供しようと本社に設けたのが、リアルタイムで社員や顧客とコミュニケーションをとるための“リスニング・センター”という場所。
室内には大きなモニターが8台設置され、そこに日々何千と投稿されるSNS上のお客様の声を視覚化して表示したり、各フライトや各地域の空模様を映し出すライブカメラ、主要テレビ局のニュースなどを映したりしています。
リスニング・センターの役目は、トラブルやクレームへの対応といった問題の解決から、会社の記念日をSNSでシェアするといったさまざまなものがあります。(デルタ航空、オランダ航空や、フォーチュン500企業も何社か同じようなリスニング・センターを導入しているそう)
機内Wifiがスタンダードとなりつつある今、リスニング・センターでは機内にいるお客様の心配の声(飛行機遅延による乗り継ぎは大丈夫だろうか、など)をSNS経由で拾い、フライトアテンダントを経由してスピーディーに問題解決に努めることでさらなる顧客満足度向上につなげることが可能となりました。
機内Wifiはサウスウエスト航空のソーシャルメディアでの存在感を増すのにも一役買っているといいます。例えば、これまでもお客様の声に耳を傾け、婚約したばかりのお客様や誕生日のお客様がいたら、機内でフライトアテンダントが盛大にお祝いをする、といったサプライズでお客様を喜ばせてきましたが、機内Wifiのおかげでその瞬間が瞬時に拡散されることが増え、よりファンが増えるきっかけとなったのだとか。
さらに注目すべきは、2006年に開設されたサウスウエスト航空の企業ブログ「Nuts About Southwest」です。アメリカの”PR News Platinum Awards”でベスト企業ブログ賞を4度も受賞し、殿堂入りしているこちらのブログには、広報担当だけでなく、パイロット、整備士、カスタマーサービス担当、インターンなど、さまざまな部署の人たちに加え、お客様の声も投稿されています。内容も、サービスやイベントの紹介だけでなく、
- 同僚の父親のために機内でバースデーパーティーを開いてくれたフライトアテンダントの紹介
- 会社を盛り上げてくれる社員の紹介
- 機内でプロポーズをされたお客様の様子
- サウスウエスト航空の機長と飛行機好きの男の子の一期一会の様子
- 人気バンドの機内コンサートの様子
- 「CEOのハロウィーンのコスチューム案募集!」
など、ユニークでバラエティに富んでいます。ストーリー性があって心に響く動画を使っているのもサウスウエスト航空ならではでしょうか。
(↑地上業務担当者が、自主的に休み時間を使ってウクレレで搭乗するお客様を楽しませる様子) |
しかも平日は毎日、多い時では1日2回以上の投稿が行われていて、360度(あらゆる方向)&365日(常に接触していく=Always On)を徹底し、情報を伝えるだけでなく、365日ユーザーとの接点を持つことに重点を置いています。月に15回以上ブログを更新している企業はそうでない企業と比べて、トラフィックが5倍多くなるといいますが、サウスウエスト航空は更新頻度だけでなく、共感と愛着を呼ぶコンテンツで、従業員とお客様との絆を深めているように思います。
サウスウエスト航空の事例は全ての企業が真似できるものではないと思いますが、自社に合った絆を深めるコミュニケーションの形とはどのようなものなのか、考えてみてはいかがでしょうか。
参考:
Southwest Airlines Adds Social To Its Customer Engagement Strategy
Marketing Benchmarks from 7,000+ Businesses
顧客体験(CX)、NPSに
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