2015.10.30
従業員エンゲージメント
“ワークライフバランス”と“幸せな国”ランキングで1位のデンマークの人たちの働き方
ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドなどの北欧諸国は、税負担は大きいですが、充実した社会保障、柔軟な組織、自由度の高い働き方、高いGDPなど、理想として語られることが多いですよね。
自分らしく働くことができて、老後も不安なく生活できる北欧諸国は、OECD(経済協力開発機構)の2015年版「よりよい暮らし指標」(11の分野(住居、所得、雇用、地域社会、環境、ガバナンス、健康、生活の満足度、安全性、ワークライフバランス)の国別の指標)でも上位にランクイン。特に「ワークライフバランス」部門では1位にデンマーク、5位にノルウェー、6位にスウェーデンという結果に。(日本は31位)
今日はこのランキングで1位だったデンマークに焦点を当て、その働き方から学べることを見ていきたいと思います。
国全体で“ライフ”の充実を重視するデンマーク
デンマークの人たちは、家族と過ごす時間をとても大切にすると言います。だからこそワークライフバランスが重視されるのだと思いますが、実際労働時間を見てみると、通常月~金の8時~17時というのが一般的。平均すると、女性は週に35時間、男性は週に41時間という労働時間のようです。
どの国よりも雇用者が従業員の家族との時間を重要視し、“ワーク以外の時間”は育児に費やしたり家族と過ごす“ライフ”を充実させたりすることが当たり前の文化として浸透しているデンマークでは、週の規定労働時間を満たせば、終業時刻は従業員自身が設定できるというとても柔軟なフレックスタイム制もあります。女性の意識改革、男性の支援、社会制度の整備によって男女平等度世界第5位という同国では、男性も育児や家事に積極的に参加し、男性の育児休暇も最大34週間と充実。1988年に同国の政府が全ての子供たちがクオリティの高い公的保育施設を使えることを保証したこともあり、女性の就業率も76%と高い割合に。また、勤務場所も自宅に近い場所を選ぶ人が多いため、通勤時間は他国に比べてずっと短いのだとか。
そんなデンマークでは、ほとんどの人が家族との夕食の時間までには帰宅します。だからこそ“ビジネスディナー”や“会食”のようなものはほとんどなく、午後4時以降に会議を入れることはご法度。休日出勤ももちろんなく、子供の夏休みと重なる夏季には3週間の夏休みも与えられます。
数字で見るデンマークの高い労働生産性
「必ず定時までには帰る」が一般的なスタイルのデンマークですが、限られた時間の中でできるだけ効率良く仕事を処理し、成果を出すことに注力しています。その生産性の高さは、次の数字を見ると分かりやすいのではないでしょうか。
★2014年の一人当たりのGDP(名目、米ドル)
・デンマーク:60,563.62ドル(世界ランキング6位)
・日本:36,331.74ドル(世界ランキング27位)
出典:世界経済のネタ帳
★2013年の一人当たりの年間労働時間(平均)
・デンマーク:1438時間
・日本:1734時間
出典:OECD
日本人はデンマーク人より年間296時間も多く働いているのに、一人当たりのGDPは約24,232ドル(2015年10月のレートで約300万円)も低いなんて、生産性について真剣に考えてしまいますよね……。
デンマークの労働生産性が高い理由
ではなぜデンマークの人たちの生産性はこんなにも高いのでしょうか。その理由には下記のようなものがあるようです。
・適職に就ける社会構造
⇒転職機関の失業保険や職業訓練を充実させることで、転職を繰り返す中で適職を見つけることができるようになっている。
・職場での誠実な信頼関係
⇒「上司がいるから帰れない」という日本のような残業文化はなく、上司は常に部下を信頼して仕事を任せ、働いた時間ではなく成果を重要視している。問題が生じればオープンに話すことが当たり前で、問題提起をしたことが高く評価される。
・自由度の高い働き方
⇒成果を出せば、働く場所や時間は自由でかまわないという考え方が浸透している。
以上、いかがでしたでしょうか。デンマークの人たちの働き方を、文化も制度も違う日本が今すぐ真似することは難しいと思います。それにワークが何よりも楽しいのであれば、ライフに占めるワークの比重は自然と大きくなるでしょうし、そう考えるとワークライフバランスの捉え方は人それぞれということになります。でも一番大切なのは、そのワークライフバランスが自分自身の幸せにつながっているかどうかではないでしょうか。
幸せな気持ちで物事に取り組むと生産性が約12%も上がるという研究結果もありますが、実際GDPの高いデンマークは「幸せな国世界ランキング」で2013、2014年と2年連続で1位となっています。幸福度と生産性の関係を体現していますね。
一人ひとりが自分らしく幸せに働くために、雇用者と従業員が個々にできること、また、一緒にできることを、デンマークの例を参考に考えてみてはいかがでしょうか。
参考:
1. http://www.keyman.or.jp/at/30007366/
2. http://diamond.jp/articles/-/42176
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