2015.11.27
エンゲージメント
顧客ロイヤリティを高めるのに、「ありがとう」の一言がロイヤリティプログラムよりもずっと効果的なワケ
ちょうどこの記事が公開される時間帯、アメリカでは多くの家族が七面鳥をメインとした感謝祭のディナーを楽しんでいるはずです。感謝祭(Thanksgiving)のそもそもの起源は1621年、イギリスからアメリカに移住したピルグリムと呼ばれる入植者の一団がアメリカでの初めての収穫を神に感謝し、作物栽培の知恵を授けてくれたネイティブアメリカン(インディアン)を招待して祝宴を催したことに由来しています。現代の感謝祭では、親族や友人が集ってお互いの存在に感謝をしながら食事をすることが多く、大切な家族行事として捉えられています。
日本でもつい先日感謝と名の付く祝日、「勤労感謝の日」がありましたが、これは「勤労を尊い、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう日」という趣旨の元、1948年に国民の祝日として制定されたもの。でも1948年以前は「新嘗祭(にいなめさい)」と呼ばれ、天皇が国民を代表して、農作物の恵みに感謝する日でした。要するに勤労感謝の日はもともと、アメリカの感謝祭と同じような意味を持つ祝日だったということですね。
でもこのような祝日がなくても、普段から感謝の気持ちを持って生活したいものです。プライベートではもちろん、仕事でも。特に企業やブランドにとって「感謝」は何よりも大切にすべきものです。
ロイヤリティプログラムではなく、感謝が顧客をファンにした事例
こんな話があります。ユナイテッド航空のマイレージサービスプログラムを15年利用していた男性がいました。出張でよく飛行機に乗っていた彼は、マイレージが溜まることで、待ち時間なしでチェックインできたり、一番乗りで飛行機に乗れたり、ラウンジを利用できたり、時にはアップグレードしてもらったり、といったリピーターならではの特典を色々楽しんでいました。でもどうしても満足できなかったのがカスタマーサービスの質でした。誠実さ、一生懸命さが感じられないカスタマーサービス担当の対応が「塵も積もれば山となる」となり、不信感へと変わり、最終的にはサービスがどこよりも良いと評判だったサウスウエスト航空へと乗り換えてしまいました。
サウスウエスト航空は、料金が安いのに接客が素晴らしく、飛行機が遅れることもほとんどなく、全てのチケットが無料の便変更に対応しているなど、評判通りの質の高さ。さらには、フライトの後には下記のような”Thank you”と大きく書かれたフォローアップメールが送られてきました。このメールが自動的に送信されているとは知りながらも、男性は大感動だったそう。なぜなら、それまでサービス事業者から購入後にお礼のメールを受け取ったことがなかったから。そしてサウスウエスト航空がわざわざ「ありがとう」を伝えるための自動配信メールを設定したというその姿勢に感動したからでした。
出典:https://esthersteinfeld.wordpress.com/
実はアメリカのブロガーさんのサウスウエスト航空に関する記事を読んでいると、このサンキューメールについて触れている人が多いのですが、皆口を揃えて言っているのが「顧客ロイヤリティを高めるのに派手なことをしなくていい、感謝の言葉といったちょっとしたことが大きな違いを生む」ということ。
感謝がロイヤリティプログラムを超える理由
もちろん、マイレージサービス、ポイントカードなど、ロイヤリティプログラムなどの利点は否めません。ポイントが溜まれば溜まるほど、もしくはメンバーである期間が長ければ長いほど、顧客の特典やメリットは大きくなり、企業にとっては自社の商品やサービスをリピートしてもらえるきっかけとなるのでWin-Winだと言えます。でもそこにその企業を信頼、支持する強い気持ちがなければ、ロイヤリティプログラムは「物質的満足感」を満たすだけのものになりかねません。お店に対するつながり、愛着、信頼などの「精神的・体験的満足感」を感じることができないと、前述の事例にあった通り、その足りない部分を求めてお客様は離れていってしまいます。
前述の事例はアメリカでのものでしたが、日本でも同じような傾向が強くなっていると思います。なぜなら、環境省が行った「一人ひとりの豊かさや環境に対する意識の変化」で、「物質的豊かさよりも心の豊かさに重きをおきたい」とする人の割合が年々増加の一途をたどっているからです。こうした心の豊かさというのは、人と触れ合い、心の温かみを感じることで得られるもの。だからこそ、より心に響く「ありがとう」の心で顧客の心を満たすことを最優先で考えてみてはいかがでしょうか。
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