勤労感謝の日の意味、知っていますか?
皆さんご存知だと思いますが、11月23日は勤労感謝の日ですよね。この祝日は、「勤労を尊い、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう日」という趣旨の元、1948年に国民の祝日として制定されたもの。でも1948年以前は「新嘗祭(にいなめさい)」と呼ばれ、天皇が国民を代表して、農作物の恵みに感謝する日でした。戦後にGHQの指示で新嘗祭のような「皇室の祭典を行なう日」である祝日が排除され、1948年の「祝日法」により「勤労感謝の日」になりました。
文字だけ見ると「働く人に感謝する日」と想像してしまいますが、勤労感謝の趣旨にある「勤労を尊い」の部分は、
働いている人たちを尊敬するという意味ではなく、勤労の目的を再確認し、一日一日の労働について真剣に考えながら、働ける喜びに感謝するとともに、創造や生産を通じて、意義のある生活を営むこと 出典:Mengry
を示しているのだそう。ということは働く人に……というよりかは、働くことに感謝する、というのが勤労感謝の日が意味するところなのでは、と思います。
アメリカは二つも働く人に感謝する日がある
アメリカには9月の第一月曜日の”Labor Day”(労働者の日)と、3月第一週金曜日の”Employee Appreciation Day”(従業員に感謝する日)という日があります。
Labor Dayは19世紀の南北戦争後、産業が発展する中労働条件に配慮が行き届かなかった時代、労働者をねぎらうための休日を設けようという動きから制定されたもの。要するに、労働者の社会的・経済的達成を称える日です。
一方Employee Appreciation Dayは、1995年と比較的最近制定されたものであり、会社のマネジメント層や人事部門が率先して、従業員の働きをねぎらおうという日。制定された一番の目的は、会社とその従業員の絆を強めようというもので、従業員エンゲージメントを高めるための日、とも読み取れます。
Employee Appreciation Dayは国民の祝日として公式に制定されているわけではありませんが、それでも二つも従業員に感謝をする日があるというのは、日本とは大きな違いですよね。
Employee Appreciation Dayを一週間後に控え、アメリカのメディアではパーティー/表彰式を開く、差し入れをする、臨時ボーナスを渡す、社員旅行を企画する、マッサージを提供する、コンサートを開く……など、「従業員に感謝するためにできること」を特集した記事が多く掲載されるようになってきました。どれも従業員エンゲージメント強化のきっかけになりそうなアイディアです。
感謝は幸せに直結する
もちろんお金をかけて特別な日としてEmployee Appreciation Dayを祝うのもいいですが、普段の感謝の気持ちや言葉を表現するだけでも十分効果はあるのではないでしょうか。
「幸福学」の第一人者であるアメリカの心理学者・ソニア・リュボミアスキー博士は、著書『幸せがずっと続く12の行動習慣』で「感謝の気持ちを表す」ことを、幸せになるための1番目の行動習慣としてあげています。
感謝の効果はすごいもので、ポジティブになれる、自信と自尊心が高まる、ストレスやトラウマに打ち克つ力がつく、道徳的な行動をとれるようになる、良い人間関係を築くのに役立つ、他人と比較して不満を抱くことが少なくなる、ネガティブな感情が薄れる、などさまざまなものがありますが、幸せに直結するのは容易に想像ができますね。
博士の研究によれば、
・幸せな人は不幸せな人よりも最大10年長く生きる
・楽観的な人は悲観的な人よりも心臓病を患う確率が77%低くなる
ということもわかっています。であれば、“Employee Appreciation Day“だから感謝するのではなく、日々感謝することを意識したいものです。もちろん企業やマネジメント層にとっては、自社・自分のあり方を見直すきっかけになるので、日本にもこのような祝日があればいいのにとは思いますが。父の日、母の日、敬老の日、子供の日があるのだから、従業員の日があってもおかしくないですよね!
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