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    エヌエヌ生命のカスタマーエクスペリエンス革命
    顧客の声を価値に変える戦略

    Interview

    エヌエヌ生命株式会社

    カスタマーエクスペリエンス部
    小橋 秀司

     

    カスタマーエクスペリエンス部門の創設

    <池田>
    まずは小橋様の社内での役割を伺えますか。

     

    <小橋様>

    私はカスタマーエクスペリエンス部門の責任者として、中小企業向け生命保険分野でのCX向上を推進しています。当社は、代理店を通じてサービスを提供するビジネスモデルであったことから、以前はエンドユーザーからの直接的なフィードバックをほとんど得ることが出来ていませんでした。

    しかし情報の非対称性が減少する中、メーカーがエンドユーザーの声を直接理解することの重要性が、急激に高まってきました。

    この認識を踏まえ、2017年10月に2名体制のCX専門チームをスモールスタートで立ち上げました。
    まずはお客様の声を直接聞き理解することが最重要と考え、実際に保険金を受け取られた法人のお客様(後継者)300名ほどにお手紙を送り、何十名かの方にインタビューをさせていただきました。
    保険会社として最もケアすべき「万が一」の瞬間に何が起こっていたのか、インタビューを通じて機会領域を特定し、プロトタイピングを繰り返しローンチしていくという、いわゆるアジャイル的なやり方でし、価値開発をしていきました。

     

    <池田>
    会社として新たな取り組みだったので、ハードルが多々あったのではないでしょうか。

     

    お客様と直接つながる

    <小橋様>
    そうですね。初期段階では「直接エンドユーザーにアプローチすることは代理店の顧客に介入することになり、極めて異例」という考えが根強くありました。そこを超えてアプローチしていくのは非常に困難であり、インタビュー内容からの価値抽出なども簡単なものではありませんでした。それが実現できたことは、私自身が会社に新卒で入り20年ほど在籍する中で、社内外の方々と関係構築ができていたことも要因としてあるかと考えています。
    また、最初に「カスタマーエクスペリエンス」や「顧客体験」など、社内に馴染まない言葉が先行してしまうと拒否反応を生んでしまうことがあります。そのため、出来る限り社員が理解しやすい・興味をもちやすいカタチでの社内コミュニケーションを意識して進めていきました。
    最初の2年間の取り組みを通じて、他社との差別化できる価値が明らかになり、2020年からは部門として本格的に活動を開始しました。現在では12名のチームとして機能しています。

     

    エントランスホールにある来客に視覚的にNPSを表現している

    来客に視覚的にNPSを表現しているエントランス

     

    顧客接点の革新

    <池田>
    在籍経験の長い小橋様だからこそうまく進められたのですね。NPSについてはいつ頃から取り入れているのでしょうか。

     

    <小橋様>

    当社はオランダに本社を持つ企業で、オランダでは既に2010年頃からNPSを導入していました。当時より、日本へのNPS導入も検討されておりましたが、日本には、代理店ビジネスをはじめとする独自のビジネス構造があったため、単純な模倣では導入が難しく、事実、過去に2度の失敗がありました。
    しかしその後、市場の変化と経営層の強いコミットメントにより、トランザクションNPSが2018年に、リレーションシップNPSが2019年に導入され、2020年よりNPSが全社の共通数値目標のひとつとして採用されるに至りました。
    調査設計から運用、分析、見える化、アクションまでチーム内での実施を試みていましたが、本格的に進めていくにつれ、内部だけのリソースでは限界を感じ始めました。 

     

    内製と外部パートナーシップの融合

    <池田>
    内製の限界とはどういったことでしょうか。

     

    <小橋様>

    私も含めて自社が長い人間が多かったので、思い込みが入っていないか。外部のプロフェッショナルからの視点が欲しい。専門家の視点から確信を得たいという思いがありました。
    また、NPSについては、国内外の学習機会を通じ、理論的な理解は深めていました。しかし、教科書的な知識ではない、現場に適用できる実践的なノウハウについては、自分たちだけでは獲得が困難であり、内製の限界を感じていました。理論を現実の業務にどのように落とし込むか、この部分を解決するには、外部パートナーにサポートいただくしかないという結論に至りました。 

     

    トータルエンゲージメントグループとの協力関係

    <池田>
    そういった中でトータルエンゲージメントグループをパートナーとして選んだ理由を伺えますか。

     

    <小橋様>

    私がNPSの理解を深める中で、池田さん(トータルエンゲージメントグループ代表)の書籍に出会い、大きな影響を受けました。その内容から、池田さんが日本でこの分野の先駆者であり、真摯な取り組みをされていることが伝わってきました。これが、池田さんに連絡を取るきっかけです。

    最初のミーティングで、私たちの抱える課題を共有したところ、池田さんは、私たちの内製の取り組みを活かしつつ、外部の専門知識を組み合わせて柔軟に対応するアプローチを提案してくれました。NPSに関する深い専門知識に加え、それを現場に応用する際の困難さや、業界特有のニーズや組織風土に合わせた実践的なアプローチを豊富に持っていることが印象的でした。これらの要素が、協業パートナーとして選ばせていただいた要因となります。

     

    <池田>
    そういった期待値でお取引を始めてご満足度はいかがですか。

     

    <小橋様>

    End to EndでのNPS全体設計から、個別のタッチポイント検証、分析に至るまで、トータルエンゲージメントさんに関わっていただいています。専門性が高いのはもちろんのこと、ビジネス特性に合わせて柔軟性高く対応いただけるので、全くストレスなくコミュニケーションを進めることができ、期待通りのアウトプットを出していただけるので本当に助かっています。NPSの理解を深める上でさまざまな方とお話ししましたが、日本ではまだまだ未開拓なこの領域を、これだけ熟知されて豊富なご経験をお持ちの方は少ないのではないでしょうか。

    今後の展望と計画

    <池田>
    今後の展開としてはどのように考えていらっしゃいますか。

     

    <小橋様>

    NPSを導入する際、当時の経営トップは顧客に深い情熱を持っており、株主への報告にもNPSスコアを取り入れていました。彼は「顧客を大切にする」という価値を強く重視し、財務指標とは別にNPSを最重要視していました。この強い意志は現経営陣にも引き継がれており、私たちもNPSの活用範囲を拡大し、より多角的に顧客の声を反映させる方向で努力しています。このアプローチは、顧客中心のビジネス運営において非常に重要な要素であると私たちは考えています。

    エヌエヌ生命 ダッシュボード

    エヌエヌ生命様 ダッシュボード

    技術の進化、特に生成AIのような先進技術の発展を踏まえ、私たちは常に業界のCXをリードする挑戦を続けていきます。社内のリソースだけでは、これらの野心的な目標を達成するのは困難であると認識しています。そのため、専門性を持つパートナーの方々と緊密に協力し、ワンチームとして新たな分野へのチャレンジを進めていきたいと考えています。これらの協力関係は、私たちの事業が次のステージへと進化するための重要なキーであると確信しています。

    <池田>

    社内を巻き込んだ取組が、成果に繋がっていけるようにこれからもよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

    タグ:

    CXコンサルティング、調査分析

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